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  1. 鹿児島県議会 2004-09-28
    2004-09-28 平成16年第3回定例会(第7日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(川原秀男君) ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    高 橋   稔 君    永 井 章 義 君    宇 田 隆 光 君    日 高   滋 君  一、議案第九一号から議案第一一〇号まで(議案第九    七号、議案第一〇四号及び議案第一〇七号を除く。)    の常任委員会付託  一、決算特別委員会の設置、議案第九七号、議案第一    〇四号及び議案第一〇七号の同特別委員会付託並    びに決算特別委員の選任
     一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━    △ 一般質問 2 ◯議長(川原秀男君) まず、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  高橋稔君に発言を許可いたします。    [高橋 稔君登壇](拍手) 3 ◯高橋 稔君 おはようございます。  台風二十一号が九十度直角に曲がりまして、あしたには本土に上陸するというような見通しでございます。さきの台風十六号、十八号におきまして、鹿児島県に被害総額が三百五億四千七百七十三万円という莫大な被害をもたらしたわけであります。私の地元の国分市でも二名の尊い人命が失われております。亡くなられた方々は、消防団員の経験もあった方々でありまして、それなりの経験もあったかと思っておりますが、最近の災害は、予想を超えた災害と言われております。温暖化現象もあるかと思いますが、備えあれば憂いなし、二十一号につきましてもしっかりとした予防策を講じるべきと思っております。台風も年間二十六回ぐらい来るのが平均だそうでありますので、まだまだ秋台風予断を許さない状況かと思っております。  さて、第二次小泉改造内閣が発足いたしました。私どもの地元からも尾辻秀久参議院議員南野知惠子参議院議員、それぞれ厚生労働・法務大臣に就任されました。地元といたしましても大変ありがたいことで、これからの活躍に期待するところでありますが、小泉総理もルーツは鹿児島加世田であります。そして、麻生総務大臣もお母さんが鹿児島の出身ということであります。大久保利通公の孫ということでありました。そういうことで鹿児島県ゆかりの方々が四名も今回大臣に就任されたということであります。まさに明治維新を思わせる顔ぶれでありますが、近年、国際化、自由化そして国家財政も七百二十九兆二千二百八十一億円という莫大な借金を抱えております。  これは、六月末の統計でありますが、三月末時点からすると二十六兆円ほどふえているというようなことでございまして、大変な状況でございます。まさに明治維新、日本が大改革をしなければ世界との戦いはできない時代かと思っております。国際化、自由化、少子・高齢化、情報化、激動する昨今の情勢でございます。四名の方々もしっかりと、明治維新そして日本の改革をしっかりと二十一世紀に対応できる国際化の中での責任ある日本国家自立のために頑張っていただきたいと期待いたしているところでございます。  伊藤知事も就任されまして今回初めての一般質問・代表質問が行われたわけであります。きょうがいよいよ最終日ということであります。胸の中は、八〇%、九〇%ほっとされている部分もあろうかと思っております。たまたま、きょうは、ネクタイのカラーも一緒でありますが、私なりに質問をさせていただきたいと思います。  市町村合併・道州制の問題であります。  私で、十七番目の質問、そして延べ二十時間のるる質疑が交わされております。そういった中で、大方の質問もなされているわけでありますが、知事、初めての一般質問ということでありますので、私なりに質問をさせていただきたいと思います。  一点目の知事の政治姿勢についての中の、市町村合併・道州制問題であります。  道州制につきましては、昨日も一般質問がなされたわけであります。市町村合併につきましては、これまで、住民の間での議論も高まってきているところであります。しかしながら、ここに来て法定合併協議会から離脱するあるいは住民投票が行われる残念な状況が発生いたしてきております。これは、先般質問等でもなされましたが、庁舎の位置とか議員定数とか財政問題るるあるわけでございますけれども、やはり一番の問題は、議員の身分の関係かなと、保証がされないということだろうと思います。  議論する時間がなかった、国からの押しつけであるとかさまざまな意見が出されているところでありますが、私は、かつて市議会議員時代、平成元年ころよりこの市町村合併問題に取り組んでまいりました。平成五年には、周辺の議員の皆さん方と一緒になって五十八名の有志議員で市町村合併の地元での研究調査会を発足させました。それから三年間かけて研究したわけであります。その後は、発展的に解消し、合併を推進すべきだという会に進展をさせたわけであります。  ちょうどその三年間の間に、伊藤知事も当時は自治省の課長でありまして、担当課長ということでお越しをいただき、講演もいただいたことがあります。また、假屋環境生活部長にも当時地方課長ということで講演をいただいた経緯がございます。自治省の方にも私は何度か出向きまして、合併問題は、やはり国がこれからの将来を見据えてしっかりと市町村・地方自治体の皆様方へも説明をすべきだというお願いもしに行きました。国の方でもそれなりに地方へは、市町村を含めてさまざまなPR紙を発行しているということでありました。その確認もいたしたわけでありますが、大概の市町村で、それは総務課あるいは財政課、企画課、いろんなところで眠っておりまして、一般住民の方々へはPRがなされてなかったというような経緯もございました。  自主的・主体的、こういうことで先進地と言われるところは、やはりこれからの国の動向あるいは世界の流れあるいは自分たちの身の回り、どこまでサービスができるかとそれを合併しているところは真剣に議論していたわけでありますが、大方の市町村は、合併に無関心であったかと思います。  私は、このことの必要性も地方議会でもとらえてまいりましたし、また県議会におきましても、これまでの質問でもとらえてきております。合併は、自主的・主体的、これが建前でありますけれども、本当にこれからの国民、県民、市町村民、住民の幸せを考えたときにこの体制でサービスができるのか。鹿児島県議会も百二十周年を終えました。また、市町村もそれぞれに施行五十周年を迎えております。国も地方も制度的に疲労し、住民サービスができない、限界を超えた状態であると私は認識いたしております。これは、比較するものがありませんから、なかなかどちらがいいというような判断はしづらいわけでありますけれども、そこは私どもがしっかりと認識すべきだというふうに考えております。  国におきましても必要性は認めるものの、なかなか相手があることでありますので、積極的に声かけあるいは支援策を講じなかった。いよいよここに来て七百二十九兆円の借金、そして国際化、少子・高齢化、情報化、経済界ではさまざまな議論がなされておりますが、もうやっていけないと、農林、水産、商工業、どこまで自治体が支えられるのか、支援ができるのか限界であります。  私は、個人的には、望ましい市町村、サービスのできる自治体、これも適正規模があると考えております。伊藤知事は、さきの質問の中でも、十万人以上の合併した市町村にはそれなりの支援措置を講じていきたい、権限移譲、財源移譲、そういったものを進めていくという答弁をされております。理想とされる自治体は、やはり三十万都市と言われております。二十万のパイロット自治体、最低の都市機能が十万都市と言われているわけでありますが、私は「鹿児島から日本を変える」、知事のこの考え、私もそういう方向で行くべきだと知事の気概も感じているところでありますが、鹿児島から変えるとするならば明治維新と同様、やはり抜本的な行財政改革を進める。地方の最たる行革は市町村合併だと思っております。鹿児島県を五つ前後の自治体にいち早く持っていく、最低十万人の都市を構築し、分権が確実に推進される。これからの高齢化社会の福祉問題やさまざまな住民サービスに対応できる、いち早く鹿児島県のそういった行政の確立を図るべきだと考えております。  そして、当然ながらそれが確立いたしますと県が不要になってくるわけであります。したがいまして、道州制問題です。この問題も鹿児島から声を上げていく。  知事は、条件整備、その合併議論の前にすべきこともあるというお話でもありましたし、また、本県の考え方を国に申し上げたいということでありました。私は、知事が鹿児島から日本を変える、積極的に道州制の声も鹿児島から伊藤知事が上げていただきたい。そして、南九州が一緒でいいのか、九州が一つでいいのか、さまざまな議論があるかと思いますが、九州は一つの時代を早くつくる、そうすることが今日二十一世紀の地方自治のあり方、国と地方の関係、しっかりとしたこれからの財源を含めた分権に対応できる自治体の方向性ではなかろうかというふうに考えるわけであります。  市町村合併を推進する中では、県境、地域の問題あるいはまた財政的な問題、さまざまな問題で法定協議会に加えてもらえない自治体、そういった自治体は、積極的なかかわりが必要だと考えております。一歩進んで、やはり中に入り込んで、問題が発生している地域にあっては県の方でも中に飛び込んで、その地域での問題そして住民の皆様方にわかりやすい資料等の配布、いろんな説明をすべきだと考えております。その問題地域にあっては、それぞれの首長さんや議員さん方が自分の思惑で住民の方々へ説明される。住民の方々は、どちらが正しいのか判断がつきにくいわけであります。  そういったことで、やはり県の積極的な支援、知事の勧告権も出てくるわけでありますが、さらに一歩進んだ鹿児島から日本を変えるという姿勢ならば、一歩も二歩も進んだ市町村合併の推進を図っていくべきだと、そして、道州制へ向けても知事が積極的に声を上げていくべきだと考えるわけでありますが、再度知事の考えをお伺いするものであります。  次に、危機管理の問題であります。  このことにつきましても質問が既になされ、知事の見解もお伺いしているところでありますが、私は、特に自衛隊・防衛庁との関係、これについてお伺いいたしたいと思います。  国民保護法制、これは武力攻撃事態対処法が昨年成立いたしまして、今回この保護法が制定されて、これから地方自治体におきましても協議会や計画策定が進んでいくかと思っておりますが、御案内のとおり鹿児島県は南北六百キロメートル、そして吹上浜からは、いまだに帰らぬ市川修一さん、増元るみ子さんという拉致されたと言われる不明の方々が、これは鹿児島県のこの本土にありながら拉致された、これは大変なことであると思っております。  また、奄美沖の北朝鮮の工作船、この銃撃戦の結果、自爆して沈没いたしたわけでありますが、この現状。小泉総理が北朝鮮に行かれまして、そして拉致者五名が帰って来られた、現在は家族も帰って来られておりますけれども、その現実を目の当たりにして、やっと日本国民はその現実を思い知ったと、まさに危機意識が足りなかった。これは平和ぼけとも言われておりますが、そういった日本の現状、私ども鹿児島県においては、そのような現実を目の当たりにして、いまだその事件の真っただ中にあるわけであります。  そういうことで、鹿児島県においては特別な事情もございますし、また平成五年の水害は、大変な被害をもたらしたわけでありますが、そういったシラス台地特有の、そしてまた台風の常襲地というようなこともございます。自衛隊との協力関係については、他の地区以上にやはり大事な部分であると思っております。これまでにもさまざまな他県の災害状況、阪神淡路大震災等でも通常の連携がなかなかとれてなかった、そういうことで被害が拡大したというような見方もあるわけでございます。そういう観点から、知事に自衛隊・防衛庁との協力関係についてお伺いするものであります。  次に、女性の登用についてであります。  伊藤知事は、マニフェストの中でも女性の登用を積極的に進めるという発表をされております。この執行部席には女性の姿が一人も見えません。これから伊藤知事は、審議会やあるいはまた県幹部の職員の登用を積極的に進めるとされておりますが、このことについて知事のお考えをお伺いするものであります。  次に、鹿児島県の湾奥地域、言い方をかえますと鹿児島県の中心的な場所でありますが、国分・姶良・空港を中心とした地域であります。この地域は、これから二十一世紀、私は先ほど申し上げました道州制、そして市町村合併が進むであろうその先を考えますときに、この地域の発展が鹿児島県を大きく左右すると思っております。この地域は、地理的にもちょうど中心地であるわけでありまして、これまでにもテレトピア構想テクノポリス構想あるいは文化的遺産、そしてまた産学官、観光、空港から三十分もありますと海、山、川、温泉、ゴルフ場、さまざまなものがそろっているわけであります。また、霧島連山と桜島に囲まれておりますので、東京湾と違いまして波も非常に静かであります。海のレジャーを楽しむには最適な場所だと考えております。また、港としての条件も陸地から急に深くなっておりますので大型船も寄港できる、そういう条件も備えていると思っております。  今、九州各県の知事が、これからアジアを重視ということを言われております。空港戦略ということで考えるならば、空港周辺にオフィス街、カーゴセンター等を充実し、そして空港の充実を図り、アジア戦略を考えていくべきだと思っております。そのためにも、その受け皿となる自治体にしっかりとした体制が整っていなければならないと。言うならばこの地区も三十万都市にいち早くし、そして南九州の拠点都市となるべき土地ではないかなと思うわけであります。  かつては、県庁をこの地域にというような運動も私どもの地域でもなされたわけでありますが、残念ながら十万人以上の都市がなかったということで実現しませんでした。県庁があの地域にあったならば、恐らくまた鹿児島県の発展も変わっていたのかなと、薩摩半島、大隅半島そして離島へも空港から行ける、そして、川内、志布志すべての中心的位置にあると思っております。この地域の発展策について、知事の見解をお伺いするものであります。  次に、警察行政についてお伺いいたします。  倉田本部長、鹿児島県の警察本部長に就任されたわけでありますが、まず初めに、暴力団についてであります。  これまでにも山口組系そして小桜一家、さまざまな対立抗争事件が発生いたしております。私の地元におきましても同様の抗争事件も起きているわけであります。過去においては、小桜一家だけであったわけでありますが、近年、山口組の増加と県内進出が著しいということでありまして、それに対してまた小桜一家が傘下組織をつくるなどして対抗措置に出ているというようなことであります。また、最近この資金源をめぐっては、やみ金融とかおれおれ詐欺、そしてまたハイテク犯罪、知能犯罪と言われておりますがそういった犯罪、また企業だけ、一般市民だけではなく、先般の新聞でも報道されておりましたが、行政に対しても恐喝まがいの行為を行っている。また、えせ右翼というような形で右翼を隠れみのにして行動している、活動しているとも聞いております。  そこで、県警におかれましては、県下における暴力団の実態をどのように認識されているのか。特に県内における活動状況や資金源の実態についてお伺いいたします。また、これらへの対策についてお伺いいたします。  次に、犯罪増加傾向にある中で、外国人犯罪、少年犯罪の増加は、大変厳しい状況にあるわけでありますが、そのために私の地域も県下で三、四番目に忙しい警察署と聞いております。警察官の方々は、事件や事故が発生したときにはろくに休みもとれない状態、そういうことで私どもの生命、財産、民生の安定に御尽力をいただいている。私の地域でも事件発生時は三カ月ほど休みもとっておりません。夜は遅くまで事件を追っておりますと、そういうことで中には病気になられた方もあったようでありますが、そういう話も聞いております。警察官の増員やさまざまな措置がとられているわけでありますけれども、警察官の方々の健康管理面を考えますと十分な休養が必要だと思っております。  そこで、県警における超過勤務の状況、休暇の取得状況、待機の実態についてお伺いするものであります。また、肉体的な面や精神面で健康保持するという観点からどのような対策をとっておられるのか。また、今後、職員の負担を減らすということで増員についてもお考えをお伺いいたしておきます。  次に、共同対処指針についてであります。  この九日に、防衛庁と警察庁が治安出動の際の自衛隊と警察との役割分担などを定めた共同対処指針を作成いたしました。本県でも本年の三月に陸上自衛隊第八師団と治安出動に関する図上訓練が行われていると聞いております。既に三十道府県でも同様の訓練がなされているとのことであります。また、この訓練を行うことによってさまざまな問題点も浮き上がってきたと言われております。県警におかれましては、現在、治安出動に関して自衛隊とどのような連携をとっておられるのか、また今後この共同対処指針に基づき、どのような想定のもと、どのような連携や対応をとられるのかお伺いいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君) まず、道州制・合併についてのお尋ねがありました。  道州制の問題につきましては、国の第二十八次の地方制度調査会、本年の三月に発足いたしておりますが、そこでの主要なテーマの一つとなっているところでもあります。また、九州地方知事会におきましても具体的な調査研究を始めているところでもあります。今後、市町村合併の進展等によりまして、市町村の規模・能力が拡大いたしまして、自立的に事務を処理することができるようになりますれば、これまで都道府県が担っておりました役割・機能を見直して、道州制を含めた都道府県のあり方につきまして本格的に考えるべき時期が来ていると考えております。  道州制を導入するに当たりましては、まずこの道州制の導入によりまして、我が国の統治構造を現在のこの中央集権的な行政システムから、さらに分権的なシステムにするという強い決意がまず必要ではないかと考えております。また、その上で、地方支分部局のあり方でありますとか、新しい財政調整制度、また首長の役割とその選任方法等につきまして、さまざまな議論を今後していかなければいけないと考えております。  御質問でも御指摘いただいたわけでありますが、合併後の十万都市に事務でありますとか権限、財源を付与するということを私申し上げておりますが、これは何よりも、県土のその地域のバランスのとれた均衡ある県土にする必要を感じているからでありますが、またあわせてその道州制が実現の課題になりますれば、この県土を複数の中枢的な都市群にしておく必要があるという認識から、このようなことをお話させていただいているわけであります。  いずれにいたしましても、道州制など都道府県のあり方につきましては、新たな地方自治制度に関連することでもありますので、機会をとらえて本県の考え方を国等に対して申し上げていきたいと考えております。  危機管理についてのお尋ねがありました。  本県は、県土の大半がシラスなど特殊土壌に覆われておりまして、豪雨等の災害を受けやすく、また多くの離島を持っているなど自然的・地理的条件は大変厳しいものがあります。このような中におきまして、自衛隊には、今回の台風十六号での行方不明者捜査を初めといたしまして、これまでも災害時の被災者の救出救助活動や離島の急患搬送活動に協力をいただきますとともに、各種防災訓練への積極的な参加など本県の防災行政及び離島医療行政の推進に格段の御支援・御協力をいただいているところでありまして、まことに心強く、心から感謝を申し上げているところでもあります。  自衛隊との連携につきましては、災害対応等に加えまして、国民保護法制への対応など一層重要となっていますので、今後、防災訓練や各種の防災対策会議のほか、県の国民保護協議会にも御参加・御協力をいただくなど、自衛隊との緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。  女性の登用についてでありますが、今日の少子・高齢化や国際化、高度情報化等、社会経済情勢の急激な変化に対応いたしまして、女性の知恵や感覚を県政や社会の第一線に生かすことは、男女共同参画行政を推進する上で極めて重要なことであると考えております。現在、県の審議会等における女性委員の割合は二九・三%、県職員の係長以上の職に占める女性の割合は一〇・二%となっておりますが、今後、審議会等の委員につきましては、職指定のものを除きまして、約その半分を女性から登用いたしますとともに、県幹部への女性登用につきましても、その能力に応じて積極的に進めてまいりたいと考えております。  湾奥地域のとらえ方の質問がございました。  県下第二の三十万都市の形成ということでもございました。  現在、我が国に三十万以上の都市は約六十六ぐらいだったと思いますが、三十万都市になりますれば自立的発展が可能になりますし、一たん三十万都市でその後人口が減少したものは、函館以外でまことに例外的なものを除いてない、非常に魅力ある都市群が形成されると思います。  錦江湾の湾奥部を中心とした地域におきましては、本県の空の玄関口であります鹿児島空港の機能充実や九州縦貫自動車道東九州自動車道などの高速交通基盤の整備が進みますとともに、先端技術産業や研究開発機能の集積が図られておりまして、また上野原遺跡や錦江湾などすぐれた自然や豊富な温泉に恵まれているなど、今後とも一層の発展が期待される地域であると考えております。このため、この地域につきましては、二十一世紀新かごしま総合計画の第二期実施計画でもその方向性を示しているところでありますが、今後さらに鹿児島空港や高規格幹線道路等を生かした国内外を結ぶ交通・情報ネットワーク等の整備、技術の集積等を生かした産業の活性化と地域特性を生かしました農林水産業の振興、霧島国際芸術の森基本構想の推進によります多様な交流を生む観光・リゾートと文化ゾーンの形成、地域の個性を生かした若者にも魅力ある地域づくりなどを進めますことによって、県全体の発展を力強くリードするような拠点的な圏域としての形成を図ってまいりたいと考えております。 5 ◯総務部長(境 勉君) 市町村合併につきましては、地域のあり方にかかわる重要な問題でございますことから、県といたしましては、これまでも市町村が住民に対しまして十分な情報を提供できるよう支援してきたところでございます。また、国の考え方等につきましても、市町村長や議会議員の方々などを対象に説明会を開催いたしますなど、適宜適切な情報提供に努めているところでございます。  現在、一部の地域におきまして、合併協議の休止や協議会からの離脱の動きも見られるところでございますが、県といたしましては、現行合併特例法の期限も迫ってきておりますことから、関係の市町村長などと面会するなどして協議状況の把握・分析に努めますとともに、合併の必要性や合併協議の円滑な推進等につきまして個別・重点的に意見交換を行っているところでございます。今後とも必要に応じまして、関係市町村長等に対する助言や調整を行うことを含めまして、地域における自主的・主体的な取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。 6 ◯警察本部長(倉田 潤君) まず、暴力団についてでございますが、山口組を初めとする県外に本拠を置く暴力団の勢力は、四十組織の約四百人、小桜一家は、十九組織の約三百三十人を把握しております。これらの暴力団は、社会経済情勢の変化に対応して、資金獲得活動をやみ金融、外国人犯罪組織と結託した偽造クレジットカード使用の詐欺、周辺者等を隠れみのに利用した企業活動等、一層多様化・潜在化させております。県警では、このような実態を踏まえ、集中的に取り締まりを行い、本年八月末現在山口組八十三人、小桜一家二十四人など合計百四十七人を検挙しております。今後とも、組織の中枢と資金源犯罪に的を絞った取り締まりを徹底するとともに、官民一体となった総合的な暴力団対策を強力に推進してまいります。  次に、超過勤務等でございますが、超過勤務は、事件・事故等に迅速・的確に対応しなければならない警察業務の特殊性からある程度はやむを得ないと考えますが、効率的な職務の執行、職員の健康管理等の面から十分検討の上行われるべきものであると考えます。なお、取り扱う警察事象の多寡や内容等によって警察署間に差がありますが、中には早朝・深夜にわたる勤務や休日を返上して勤務するものも相当数いることは事実であります。  昨年の職員一人当たりの休暇の平均取得日数は約四・一日となっており、警察署間の差異はほとんどございません。待機は、夜間及び休日に勤務員以外の職員を自宅等で待機させ、突発事案等に備えるものでありますが、各警察署の一人当たりの待機回数は、おおむね月に四、五回となっております。  健康管理対策でありますが、警察職員は、その業務の特殊性から不規則な勤務につくことが多いので、警察職員の健康管理は極めて重要であると考えております。そこで毎年、定期健康診断または人間ドックを職員全員に受診させているほか、保健師・産業医等による生活習慣の改善指導等を実施しております。また、メンタルヘルス対策としては、生活相談員や部外カウンセラーが職員からの相談に応じて適切な指導・助言等を行っているほか、副署長等を主任相談員とする相談制度も実施しております。なお、長期化する捜査本部等の専従員に対しましては、特別の健康診断を実施することにしており、職員の健康管理には今後も十分に配慮してまいりたいと考えます。  なお、増員につきましては、県議会を初め各位の御理解と御支援を得て、平成十四年度から十六年度にかけて百四十人の警察官が増員されたところであります。来年度も国において三千五百人の増員を要求しているとのことでありますので、本県への増員が認められるよう県開発促進協議会等を通じ国に対し要望してまいりたいと考えております。  次に、自衛隊との連携についてでございますが、県警察では、陸上自衛隊第八師団と有事の際に両機関が連携して対処するため、平成十四年五月に治安出動の際における治安維持に関する現地協定を締結し、本年三月には共同図上訓練を実施したところです。また、このたび警察庁と防衛庁とで作成された治安出動の際における武装工作員等事案への共同対処のための指針が示されましたが、今後陸上自衛隊とも協議しながら、現地レベルの共同対処マニュアルを作成し、両者がより一層円滑かつ緊密に連携して対処し得る体制を構築していく方針であります。    [高橋 稔君登壇] 7 ◯高橋 稔君 それぞれ御答弁いただきましたが、時間がございませんので、次へまいります。  土木行政についてお伺いいたします。  これまでにも、土木行政につきましては、るる質問がなされております。私は、構造改革特区の問題もありましたが、建設業の再生支援ということでお尋ねいたしたいと思います。  厳しい現状につきましては、るる質問がなされておりますので、公共事業減、県単事業減、この質問もあったわけでありますが、大変苦労されております。こういう業界をどう支えていくか、建設業の他事業への転換、参入の再生支援をどのように行うのかという点について、まず一点目お伺いいたします。  次に、二点目といたしまして、県下各地の農業改革特区、これへの建設業界からの参入状況、またこの参入についての支援状況についてお伺いいたします。  次に、道路整備であります。  公共事業が削減される中、峻別を行う、優先度合いを決めていくということであります。さらには、道路等も見直すあるいは従来から一・五車線、これをまた地方にあってはともかく整備をしていただきたい。道路は、地方の生命線でもあります。道路が整備されないことによって集落が消滅する、そういうような危機感もあるわけであります。そういうことで、優先順位を決める、優先度合いを決める、この優先順位の決定に当たっての地方への配慮についてどのように考えておられるのかお伺いいたします。  次に、焼酎、酢等の振興についてであります。  この焼酎産業につきましては、さきの議会でもるる質問がなされております。近年、非常に伸びを示している業界であるわけでありますが、また、この鹿児島の芋焼酎、鹿児島の芋焼酎というネームバリューが大事だと思っております。芋焼酎、この原料に係るサツマイモの原産地表示についての考えを再度お伺いするものであります。さらに、このブームを終わらせないために県としてはどのように取り組んでいく考えなのか、また海外への販路拡大の取り組みについて今後の展望を示していただきたいと思います。  また、焼酎と同時に本県特産の酢が人気を帯びております。黒酢、キビ酢、カキ酢と、ほかにもいろいろな食酢があるわけでございますけれども、この食酢産業の振興を積極的に支援していくべきと考えるわけでありますが、そのことについてお伺いいたします。  次に、環境問題についてであります。  人間のエゴから生態系を守れ、環境省特定外来生物法で意識改革ということであります。特定外来生物法が可決されまして、そして、来年の整備へ向けて進んでいるわけであります。本県におきましても、さまざまな被害状況があるわけであります。その中でも特に被害をもたらしていると言われておりますブラックバス、ブルーギル、ジャンボタニシ、マングース等について、繁殖の現状、被害の実態・対策はどのようになっているのかお伺いいたします。  また、個人的には、すべての外来種に対して規制をかけるべきと考えているわけでありますが、今後の規制について国に働きかけを行うべきと考えておりますが、このことについて見解をお伺いいたします。  次に、公共関与型の管理型最終処分場についてであります。  このことにつきましては、これまでにも県内に一カ所早くつくるべきだというお話もありまして、県の方も積極的にされているわけでありますが、なかなかうまくいっていない。国分市でも、現在適地選考委員会で候補地の検討がなされているわけでありますが、やはりやれやれと言う方はいいわけでありますけれども、いざその当該地域は、いろいろな問題を抱えているわけであります。整備するに当たっては、慎重の上にも慎重を期してもらいたいと考えておりますが、そのことについてお考えをお伺いいたします。  最後に、選挙関係についてであります。  今回、投票率が上がっておりますが、今回の参議院通常選挙、県知事選を振り返って、この投票率が上がったことはどういう理由によるものか、そしてそれをどのようにとらえているか。  二点目に、投票率アップに向けた選挙啓発の展開は従来どおりであったのか。今回はどのような啓発を行ったのか。また、投票率は上がったが今後の対策についてはどのように考えているのか。期日前投票の状況はどうであったのか、以上お伺いいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 8 ◯知事(伊藤祐一郎君) 公共関与によります産業廃棄物管理型最終処分場の整備に当たりましては、何よりも地元の自治体や地域住民の理解と協力が極めて重要であると考えておりまして、これまで先進地視察や産業廃棄物セミナーなどの普及啓発活動に積極的に取り組んできたところであります。  管理型最終処分場の候補地につきましては、昨年十二月に国分市に設置されました適地選考委員会において鋭意検討が進められているところであります。  県といたしましては、今後とも地域住民を対象といたしました先進地視察やセミナーを実施しますとともに、国分市とも十分連携を図りながら、管理型最終処分場の一日も早い整備に向けまして、慎重かつ積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 9 ◯農政部長(山田裕章君) 農業参入に係る構造改革特区についてであります。  現在、県内で加世田市、西之表市、大口市、川内市の四件の計画が認定され、八月末現在で建設業六社が必要な手続を済ませたと聞いております。  県といたしましては、特区制度の活用により耕作放棄地の解消、地元雇用の創出など地域の活性化につながるものと期待しておりまして、制度の内容や全国の取り扱い事例等の情報提供や栽培技術研修などの必要な助言・指導を行いまして、建設業の農業参入を支援してまいりたいと考えております。  ジャンボタニシは、食用として輸入されましたが、その後野性化し、水稲等で被害が発生いたしましたことから、昭和六十年に植物防疫法で有害動物に指定されております。本県では、県内のほぼ全域で発生が見られまして、平成十五年度では、水田の約二%に当たります五百八十六ヘクタールで被害が発生しております。  このため、県といたしましては、水田、水路での一斉除去、農薬による適正な防除等を講じるよう農家を指導し、被害軽減に努めているところでございます。 10 ◯土木部長(加藤憲一君) 経営革新や新分野進出に自主的に取り組もうとされております建設業者を支援いたすために、地域再生計画を作成したところでございます。この計画に基づき建設業再生アドバイザーの派遣が受けられますようにしたほかに、庁内の関係各課や政府系金融機関で構成いたします建設業経営革新・新分野進出支援チームを設置いたしまして、新分野進出に関する相談や公的融資などの支援措置に対応することとしたところでございます。今後、この計画の円滑な推進を図り、県内建設業者の経営安定と地域産業の振興に努めてまいりたいと考えております。  道路の整備につきましては、広域的な幹線ネットワークの形成や災害に強い道づくりなどを図ってきているところでございます。その事業箇所の採択に当たりましては、厳しい財政状況を踏まえまして、地域における整備状況や利用実態、災害や事故発生の危険度などを考慮しながら、また用地取得など事業執行の環境なども総合的に判断いたしまして決定しているところでございます。  県といたしましては、地域の実情に合いましたローカルルールを活用するなどいたしまして、一層のコスト縮減を図りながら重点かつ効率的な道路の整備に努めてまいりたいと考えております。 11 ◯商工観光労働部長(原田耕藏君) 焼酎の振興についてでございます。  県内産サツマイモ使用に係る表示につきましては、既に一部の酒造メーカーで取り組みがなされているところでございますが、一層のブランド確立を図っていくためには、品質の向上はもとよりサツマイモの原産地表示など、消費者の食の安心・安全に対するニーズにも積極的に対応していく必要があると考えております。  また、現在の焼酎ブームを持続可能なものとするためには、安価で健康によいという芋焼酎の持つ利点をさらにPRしていきますとともに、原料用サツマイモの安定確保や各蔵元がはぐくんできた技術、多様な個性を継承しながら、一層の品質向上に取り組んでいくことが重要であると考えております。
     県といたしましては、今後とも工業技術センターによる技術支援や全国の物産観光展等における紹介宣伝など業界と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。  また、本格焼酎は、これまで開催されました海外商談会などにおいても好評を得ているところであり、既に海外に代理店を設置するなど輸出に取り組んでいる酒造メーカーもございます。今後とも、関係業界・団体などと一体となって本格焼酎の海外販路の拡大にも取り組んでまいりたいと考えております。  次に、黒酢等でございますが、近年、本県の気候・風土を生かし熟成させた黒酢、キビ酢などの食酢が消費者から高く評価され需要を伸ばしていると聞いております。  県といたしましては、工業技術センターによる技術開発や新商品開発に対する助成、それからかごしま遊楽館や全国の物産観光展における紹介・宣伝などを行っており、今後とも、本県産食酢の振興及び販路拡大について積極的に支援してまいりたいと考えております。 12 ◯林務水産部長(諏訪弘美君) ブラックバス、ブルーギルは、平成十三年の県の調査では、県内二十三の市町で生息が確認されており、アユなど有用魚種への影響が生じております。  県といたしましては、平成七年に内水面漁業調整規則を改正し、ブラックバス、ブルーギルを無許可で移植することを禁止し、これまで県民への広報・普及を行ってまいりました。平成十四年度からは、県内水面漁連等と連携して駆除を行ってきているところであります。さらに、本年六月の県政かわら版や七月のグラフかごしまに外来魚駆除の取り組みを掲載し、広く県民への周知を図るなど対策に鋭意努めているところでございます。 13 ◯環境生活部長(假屋基美君) マングースにつきましては、環境省の調査によると名瀬市を中心に五千頭から一万頭前後は生息し、アマミノクロウサギなどの希少種も捕食していることなどがわかったところでございます。環境省では、平成十二年度から駆除事業を実施し、四年間で約一万二千頭を捕獲したところでございます。この結果、マングースの生息数は相当減少しましたが、逆に捕獲効率が低下し、また生息域の拡大が見られるところでございます。このため環境省では、平成十七年度から大幅に事業費を増額し、十年以内の完全排除を目指すこととしております。  外来種による希少種の生息への被害を防止するため、平成十六年六月に特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律が制定され、現在、国におきましては、駆除しようとする特定外来生物の指定等について検討中であると聞いております。  県といたしましては、これまで県開発促進協議会等を通じまして、希少種の保護対策の一層の推進について要望してきたところでありまして、また、九月八日に奄美を視察された小池環境大臣に対しましてもマングースの特定外来生物指定を要望したところでございます。 14 ◯選挙管理委員会委員長(鎌田六郎君) 投票率につきましては、ここ数年投票率の低下傾向が続いておりました関係もありまして、市町村選挙管理委員会と関係団体などの御協力をいただきながら、さまざまな手段を用いて啓発を行ってまいりました。今回、投票率が上がりましたのは、参議院議員と知事の同日選挙ということで、特に県民の皆様の関心も高かったことがあって、投票率が上がったのではないかというふうに考えております。低下傾向にも歯どめが一応かかったというふうに認識いたしております。  選挙啓発につきましては、従来どおりテレビやラジオを利用する、あるいはポスター、懸垂幕の掲示、県の広報による放送等々いろいろ手段を尽くしてまいりましたが、今回は、特に若年層への啓発を重点に実施するとともに、期日前投票などの周知徹底を図るということも念頭に置きまして、FMラジオの若者向け番組を利用した啓発あるいは企業訪問、街頭啓発等積極的に展開してまいったところであります。今後とも、関係機関・諸団体等の御協力をいただきながら一層工夫を凝らしまして、棄権防止・投票率の向上に努力を傾注してまいりたいと思っております。  期日前投票の状況でございますが、参議院議員の選挙、知事選挙、両選挙ともほぼその率は同様でございまして、一七%台後半ということでございますが、知事選挙を例にとって具体的に申し上げますと、期日前投票が一五・九三%、これに従来型の不在者投票、つまりは病院ですとか不在者投票指定施設等では、期日前投票といわずに従来どおり不在者投票を実施いたしたわけでございます。これを加えますと一七・六九%となっておりまして、前回の知事選挙における不在者投票の割合と比較しまして九・三二ポイント上回っております。これは、従来の不在者投票に比べまして、投票の手続が簡素化されまして、大変投票しやすくなったことによる効果があらわれたものだというふうに考えております。    [高橋 稔君登壇] 15 ◯高橋 稔君 るる答弁をいただきましたが、時間がなくなってまいりましたので、伊藤知事にこれからの四年間しっかりと期待を申し上げながら、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 16 ◯議長(川原秀男君) 次は、永井章義君に発言を許可いたします。    [永井章義君登壇](拍手) 17 ◯永井章義君 おはようございます。  第三回定例会一般質問も最終日となりました。まずもって、昨日の内閣改造におきまして、本県出身の尾辻秀久議員、また南野知鉄子議員お二人の入閣を心からお喜びを申し上げたいと思います。厳しい時代ではありますが、我が国のあるべき姿、また方向づけのため、さらなる御活躍を心から御期待とお喜びを申し上げます。  代表質問、一般質問等において多くの県政の課題について議論がなされました。また今回、伊藤新知事を迎えての初めての議会でもありますので、私は自身がかかわる離島地域に係る課題について、若干の重複はありますがお許しをいただいて、新たな思いを込めて通告に従い質問させていただきます。  まず初めに、奄美群島の振興開発についてお伺いいたします。  伊藤知事は当選後、地元紙のインタビューにおいて「奄美振興が県政の主要なテーマであることは当然、鹿児島が鹿児島のアイデンティティーを保つこと、主要条件となるのが奄美振興である」と強調され、施政方針の中においても、「奄美・離島地域においては、交通基盤や産業基盤などの社会資本の整備を促進するとともに、豊かな自然・伝統文化等の特性を生かした産業の振興や人と自然が共生する癒しの島づくりなど、自立的発展に向けた取り組みを積極的に推進していく」方針を示されました。  御案内のように、奄振法もことし三月に関係各位の御尽力により五カ年間の延長を実現し、法の趣旨も「島ごとの特性を生かし、奄美群島の自立的発展に資する」と明確に変わりました。制度的にも、国の基本計画に基づき、地方自治体が企画立案し、県が策定するという制度となり、先般、計画が策定され、概算要求も行われたわけでありますが、今回、新しい法のもとで進められてきた計画策定の経緯について、従前とどのような変化があったのか、また今回、地元から多くの要望が出されておりましたが、本県として地元の要望をどのように反映させ、どのような点に力点を置き策定したのかお示しください。  現在、奄美では島ごとに市町村合併の協議が進められております。その中で、新市町のあるべき将来像を見据えながら市町村建設計画の策定が進められており、それは奄振計画同様、地域の特性あるいは優位性を生かし、地域の活性化と自立的発展を目標としているところであります。一方、奄美群島はあくまでも一つであり、島ごとの特性、優位性を生かすとともに、こうした島々を連携させることにより奄美群島全体としての総合力は増すものであり、このことがひいては群島の自立的発展につながるものと考えます。  奄美群島全体で取り組む課題については、十四市町村から成る奄美群島広域事務組合を中心に、現在、奄美ミュージアム推進事業やあまみ木工の里づくり事業に取り組んでいるところであり、奄美群島の自立的発展に向けて、地方分権の推進にふさわしい取り組みも始まってはおりますが、まだその体制づくりの過渡期であり、本県の主導的役割と地元が一体となった取り組みが求められておりますが、今後の奄美群島の振興開発について、現状を踏まえどのように取り組んでいかれるのか、本県の基本的な考えをお示しください。  あわせて、大島本島内における交通機関である奄美交通は、御案内のように、ことし一月の全面撤退、三月の一部廃止届、また去る十六日の廃止届がなされた中の二十六系統の一部廃止取り下げと、この九カ月間で事業方針が幾度となく変更され、地域においては大きな混乱と多大な影響を受けているところであり、公共交通機関としての企業理念に大いな疑念を抱くものであります。  地元では、一部廃止届を受け、奄美大島バス対策協議会を中心に二十四系統を代替路線として運行する方針を決め、関係市町村は七月に地元の岩崎バス、瀬戸内タクシーと正式に委託契約を締結し、九月定例会で車両購入費補助金も補正予算で計上されているところであります。  今回の事態を受け、先日二十一日、奄美大島バス対策協議会において今後の対策が検討され、地域における公共交通機関を将来にわたって安定的に確保するため、既定方針どおりバス運行事業を実施することを確認されました。  一方、今後、バス路線が競合することにより現実に運行がどのようになるのか、また現在の奄美交通に勤務する職員の方々、また代替路線バスを運行する岩崎バスに新たに就職された方々も今後どのようになっていくのか、不安と心配の声が上がっております。  先般の福山議員の質問に対する企画部長の答弁で、本県として代替路線バスについて最大限の支援を行い、地元と一体となり取り組んでいかれる旨の答弁を賜りました。今日まで本県におかれましても幾度となく協議・指導を賜ってまいりましたが、改めてこの現状を踏まえての本県の基本的考えをお示しください。  また、昨日、九州運輸局より一部廃止届の取り下げ受理の返答があり、路線の競合が現実となりました。地元においては、初年度以降の運行費補助についてどのようになるのか危惧しておりますが、本県としてのお考えをお示しください。  次に、本場奄美大島紬協同組合撚糸工場についてお尋ねいたします。  大島紬は、本県が世界に誇る伝統的工芸品であり、かけがえのない地場産業であります。近年は、社会情勢、生活様相の変化を受けて、昭和五十年代半ばをピークに年々生産反数も減少しておりますが、現在でも紬生産に従事する方々は群島内で四千五百名以上もおられ、生産額も二十六億円近くの地場産業であります。厳しい経済情勢にあって、離島において新しい産業の創出を目指し、努力を重ねておりますが、確立はなかなか難しい実情であります。地場産業をいかに充実させるかということが基本になると思います。  本県においても、地場産業・伝統産業の振興・活性化に取り組まれており、大島紬に関しては織物共同作業場、紬加工場、共同のり張り場と多くの施設がありますが、この撚糸工場は、大島紬の生産工程の中でも、その高品質を保持するための母体的、核となる生産施設であります。  現在の撚糸工場は、昭和二十八年に戦後処理費で設置し、昭和三十八年復興事業により完成された工場であり、四十年の歳月が経過しております。現在では老朽化が著しく、新たな建てかえの必要性が強く求められております。今日まで、県当局とも奄振を活用した補助事業の導入等、検討が重ねられましたが、民間事業に対する補助、また二回目の補助になる等の問題でその難しさも聞き及んでおりますが、まず、本県として、地元における撚糸工場の必要性についてどのようにとらえておられるのか認識をお示しください。  一方、大島紬技術指導センターの技術開発と連動した複合的施設の展開も検討されましたが、奄振の活用が難しいとするならば、ほかの補助事業はないのか、また産業振興の上で幾つかの制度を活用する方法はないのか、今ここで改めて、事業母体である紬協同組合、地元自治体、県当局一体となってそれぞれの協力と可能性を協議する必要性を強く感ずるものでありますが、本県としてのお考えをお示しください。  離島航空路線は、離島住民の生活や産業活動にとって極めて重要な交通手段であります。ただ、採算性の面で課題を抱えており、さらに、平成十二年二月から需要調整規制の廃止により、不採算路線からの撤退などの影響が危惧されるため、本県としても国と協調し、地域住民の日常生活に不可欠な離島航空路線の維持・存続を図る意味において、運航費補助、航空機購入費補助、航空機燃料税の軽減措置、着陸料の軽減措置など多くの制度や特例措置がとられておりますが、いかんせん航空運賃の割高感は否めないのが現状であります。利用されるほとんどの方が運賃の改善、低減化を求めているのが現状です。  離島間は距離が短く、需要が少ない面もあり、沖縄県の離島間も同じような状況でありますが、長距離においては大きな差があります。例を挙げますと、東京―那覇間千六百八十七キロ、普通運賃三万四千五百円、一キロ当たりの運賃にしますと二十・四五円、大阪―那覇間千三百四キロ、普通運賃二万八千五百円、一キロ当たりの運賃にしますと二十一・八六円です。これが、距離が短い東京―奄美間千四百三十六キロ、普通運賃三万九千五百円、一キロ当たりの運賃にしますと二十七・五円、大阪―奄美間は一キロ当たりにしますと三十・八四円、大阪―種子島間は一キロ当たりの運賃にしますと四十円であります。一・五倍から二倍近くの格差があるのが現状であります。  確かに、年間を通し利用する旅客数、需要に大きな差があるのは事実ですが、利用する側として割高感は否めません。現在、奄美でも観光産業に携わる皆さんが、奄美の自然環境や癒しの文化等奄美の多くを知ってもらおうと、エコツアーなど受け入れの態勢づくり等に多種多様の努力と工夫を重ねておりますが、まずこの航空運賃の壁に当たります。個人的にも奄美を訪ねたいと思う方、また家族を伴って帰省しようとする方々も、どうしても航空運賃の割高感の壁に直面するのが現状であります。  航空会社の実情もありますが、改善により利用客も増加することも想定されるわけでありますから、今日まで幾度となく協議・要望もされてこられた課題でありますが、ぜひ重ねて航空会社との協議を強く要望するものであります。本県としての取り組みとお考えをお示しください。  あわせて、離島と本土との交通手段は海上航路であります。年間延べ三十五万人の方々が離島航路を利用されます。近年は港湾接岸機能も整備され、船舶も近代化・大型化され、利便性も向上されてきましたが、利用客の中にはお年寄りの方や障害を持つ方がおられます。  現在、車いすの方々は、唯一名瀬港だけは待合所にあるエレベーターで二階に上がり、ボーディングブリッジで乗下船することができますが、ほかの港では船舶運航会社の方に相談し、ワゴン車で車両甲板部から乗降されておられます。お年寄りの方々の乗下船は、御存じのとおり船の階段であります。階段の段数は五十段近くもあり、高さにして十メートルぐらいある船もあります。この議場の高さよりも高いわけであります。晴天のときはまだしも雨などの悪天候のとき、傘を差しながら荷物を持って乗下船される姿を見ると、何とかスムーズに乗下船することはできないのかなあと思うのは私だけではないと思います。  港が外洋に面し、ボーディングブリッジ等の設置も技術的に難しい実情もあるかと思いますが、本県として、まず港湾待合施設におけるバリアフリー化などへの対応にどのように取り組んでおられるのか、また、乗降に際して、ボーディングブリッジなどを含め、スムーズな乗降への技術的検討をされた経過とお考えをお示しください。  一方、船舶内にエレベーター、エスカレーターが設置されている船舶は限られているのが現状です。その設置が求められておりますが、船舶におけるエレベーター、エスカレーター等を設置する場合、船舶会社の大きな負担が伴うわけでありますが、その場合の助成措置はどのようにされているのか、また、船舶運航会社とはどのような協議をされているのかお示しください。  以上、一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 18 ◯知事(伊藤祐一郎君) 奄美群島の振興開発についてのお尋ねがありました。  奄美群島の振興開発計画につきましては、これまでは、県が策定した計画案をもとに国が作成いたしておりましたが、今回の計画では、市町村が計画案を作成し、この計画案をもとに県が策定したものであります。このようなことから、計画の策定に当たりましては、市町村ヒアリングや島別の意見交換会を実施するなど、地元市町村と緊密な連携に努めたところであります。  また、地域の創意工夫を生かした各種のソフト事業につきましても積極的に取り入れるなど、島ごとの特性に応じた振興開発が図られるよう、それぞれの島別に計画を作成しているところであります。  今後の奄美群島の振興開発につきましては、この新たな計画に基づきまして、これまでの成果も生かしながら奄美群島の自立的発展を目指しまして、市町村や奄美群島広域事務組合など地元と一体となりまして、ハード・ソフトの両面から効率的・効果的な施策の展開に努めてまいりたいと考えております。 19 ◯企画部長(岡積常治君) 奄美大島におけるバス路線につきましては、奄美交通株式会社が廃止届の一部取下願を提出し、受理されたところでありますが、地元市町村は、これまでの方針どおり十月一日から廃止路線代替バス等を運行することとしております。  県としましては、地元市町村の取り組みを最大限支援することとしており、バスの運行により生じた欠損につきましても、地方公共交通特別対策事業補助金制度の対象となるものと考えております。  離島航空路線につきましては、その維持・存続とともに運賃の低減化を図ることが重要であると考えており、県としましては、これまで、運航費補助や着陸料の軽減措置などの支援策を実施しておりますほか、航空会社に対し、運賃の低減化の要望を行っているところであります。その結果、本年十月から、これまで割引運賃が設定されていなかった奄美・東京線、奄美・大阪線に前売割引運賃が設定されることとなったところであります。  今後も、離島航空路線の維持・存続とより一層の運賃の低減化が図れるよう、関係機関・団体と一体となりまして、国及び航空会社に対して要請してまいりたいと考えております。  船舶のバリアフリー化につきましては、平成十四年五月以降に建造された船舶につきましては、交通バリアフリー法に基づき、エレベーター、スロープや身障者用トイレの設置などのバリアフリー化が義務づけられております。また、平成十四年五月以前に建造された船舶につきましても、今後、更新する際には同法の適用の対象となるため、バリアフリー化が進むものと考えております。  利用者等からバリアフリー化について要望が出された場合には、事業者に対し要望内容を伝え、県として適切な対応を要請しておりますほか、事業者が離島航路に係る船舶を建造する場合には、県単独補助として建造費の一〇%を補助する制度がありますことから、当該制度の活用などにより船舶の適切な更新とバリアフリー化が同時並行的に進められるよう、県としても支援しているところであります。 20 ◯商工観光労働部長(原田耕藏君) 本場奄美大島紬協同組合の撚糸工場は、奄美群島における伝統産業である大島紬の原料糸の安定的供給を図るため、昭和三十八年に奄美群島復興事業で整備され、地元紬業者のニーズに応じた多品種少量の撚糸の安定的供給に重要な役割を果たしてきております。  この撚糸工場の建てかえにつきましては、名瀬市と地元紬組合との間で、撚糸部門と体験工房等から成る複合施設、仮称「地域産業支援センター」と言っておりますが、この整備について協議・検討が進められていると聞いております。  大島紬は奄美群島における基幹産業であり、その原料糸の安定的供給は重要であると考えておりますが、県といたしましては、今後の名瀬市と地元紬組合との協議・検討状況等も踏まえながら対応してまいりたいと考えております。 21 ◯土木部長(加藤憲一君) 離島航路における旅客ターミナルのバリアフリー化につきましては、交通バリアフリー法の整備基準に基づきまして、スロープ、エレベーター、視覚障害者誘導用ブロック、障害者用トイレなどの整備を計画的に進めておりまして、すべての旅客ターミナルにつきまして、ほぼその対応を終えているところでございます。  また、名瀬港にはボーディングブリッジを設置いたしておりますが、それ以外の離島各港は外海に面しておりますため港内の静穏度の確保が図られないことや、台風の影響などを受けやすいことなどから、現時点におきましてはその設置は非常に厳しい状況でございます。  交通バリアフリー対策につきましては、船舶におきましても着実にその対応が進められているところであり、県といたしましても、運航事業者と連携を図りながら、高齢者や障害者の方々が安全かつ快適に利用できますよう対処してまいりたいと考えております。    [永井章義君登壇] 22 ◯永井章義君 それぞれ御答弁を賜りました。  伊藤知事の奄美・離島における振興について、地域の特性を生かした積極的施策の推進についての御答弁を賜りました。引き続きのお取り組みを心からお願い申し上げます。  また、早速本会議終了後の六日に奄美の瀬戸内町で「知事と語ろ会」の計画を賜りました。心から歓迎とお礼を申し上げます。  一言瀬戸内について申し上げますと、瀬戸内町は南部大島にあり、加計呂麻島や請島、与路島等の有人島を擁し、集落数も六十四集落と広大な町であります。海洋性に富む、情に厚い地域であり、また昭和の合併により四つの町村が合併してできた町であり、今日までの推移を踏まえて、今回の合併推進へも多くの議論があるのも事実であります。また、補足でありますが、金子議員の地元でもあります。ぜひ地域の方々の意見や実情を受けとめていただき、施策推進へ生かしていただきたいと思います。  また、現在、施策の方向づけが奄美群島全体をとらえて推進するものと、島ごとの特性を生かしながらの施策など広域的な推進が求められておりますが、奄美の現状として広域自治体の体制づくりに協議を重ねている状況であり、なかなか現在の自治体の枠を超えて企画・推進していくことが難しい状況も一方ではあります。広域的体制づくりのちょうど過渡期であり、施策の企画・推進の上で本県と地元が一体となった取り組みが一層求められていると思いますので、実情を踏まえてのお取り組みをお願い申し上げます。  大島本島内におけるバス事業運行に当たっては、積極的支援をされる答弁を賜りました。  路線が現実に競合することになり、今後もさまざまな展開や局面も想定されます。公共交通機関であるバス路線の維持・確保に当たっては、引き続き地元と連携の上で本県の指導・助言、支援を心からお願い申し上げます。  撚糸工場について、その必要性についての答弁を賜りました。  共通の認識でありますが、当施設は大島紬の生産工程の中で重要な施設であります。老朽化も進み、今後の方向づけが求められております。単に事業母体だけでの改善が難しく、地元自治体も何らかの判断が求められております。改めて紬組合、自治体と本県と一体となった協議を重ねてお願い申し上げます。  航空運賃の改善については、一部路線の割引がこの十月からスタートするということの答弁を賜りました。  利用する側にとっては本当に大きな課題です。また離島にとって、今後、自立化を推進するに当たって、産業振興の上でいかに輸送コストを低減するか、航空運賃を低減するかは基本的課題であると思います。引き続き改善への要請と協議をお願いいたします。  また、本年一月には徳之島空港において、着陸時における航空機事故もありました。大きな事故にならなかったのが不幸中の幸いだと思いますが、現在、本県を就航している飛行機の機材に当たっては、現在では製造中止になっているものがそのほとんどであるという報告もあります。運航に当たっての安全面の確保に当たっては、最大限に当たっていると思いますけれども、本県として、この状況の把握と確認については強く要望しておきたいと思います。  離島航路のバリアフリー化を含む問題については、いろいろ技術的に難しい面もありますが、今後も取り組みをお願いしたいと思います。  今回は離島における改善について質問いたしましたが、一方の玄関である鹿児島港における整備が求められている状況もあります。新港における現在の実情を改善してほしいという要望はかねてから強いものがあります。現在、南埠頭におけるターミナル等々の整備も進み、平成十八年度には既設の浮き桟橋も撤去される方向であり、奄美航路の北埠頭への移転の本格的協議が求められております。移転する場合の利用上の問題点など、幾つかの点で運航会社との本格的協議が求められていると思いますので、抜本的解決に向けての協議を強く要望いたします。  質問に移ります。  洋上百キロメートルを超える距離にある地上放送デジタル波の伝送については、現在、九州総合通信局によりその実証検査が行われていると聞いておりますが、その結果を踏まえて、今後の対策が検討されていくものと思われます。その実証試験の現状と内容をお示しください。  あわせて一、二お尋ねいたしますが、デジタル波は現在のアナログ波より直進性が強いと聞きます。山間部の多い本県、また離島においては、現在のアナログ波においても難視聴地域があり、長年その改善に努めてきているわけでありますが、デジタル波に切りかわったとき、現在ある中継施設で十分に伝達ができるのか、また、このことの実証検査は計画されておられるのかお尋ねいたします。  また、デジタル波に切りかわるに当たっては、しばらくの期間はアナログ波とデジタル波と両方が伝達される期間、いわゆるサイマル期間があると聞きます。この時期に当たって、現在の中継施設で併用できるのかお尋ねいたします。  もし新たな設備が必要になれば多大な費用が伴うことになり、民間事業者には大きな負担が想定されます。地上放送デジタル波化は国の施策の一環で行われるものであり、もし今後の展開で幾らかの費用が想定されるのであれば、国の責任において十分な対応が求められるものであると思います。家電リサイクル法でもそうでありましたが、全国一律で制度が進みますと、地域の実情、特に離島においては新たな整備や負担が伴ってきます。後から改善するのでは多難なことが多々あります。  また、デジタル波化は二〇〇六年から地方局がスタートし、二〇一一年にはアナログ波からデジタル波へすべて切りかわる方向であります。そのときには既にすべての家庭で受信のできる体制が整っていることが最低の条件であると思います。単に切りかわるだけで済むものであればいいのでありますけれども、その実証検査の期間や、また仮に新たな施設整備等改善を必要とするならば、二〇一一年から逆算しますと早急な検証とその対策が求められていると思いますが、本県としてどのようにとらえて、国との協議はどのように進められているのかお示しください。  次に、沿海・近海区域の規制緩和についてお尋ねいたします。  昨年、この件に関しましては問題提起を行いましたが、その後、県当局において現状の把握や検証が進められ、本年第一回定例会において全会一致で意見書の採択を賜りました。このことを踏まえて、現在、課題解決への取り組みが推し進められておりますが、まだ現状の打開には至っていないように思われます。  現在、石油原価の高騰を受け、市場におけるガソリン価格も値上がりし、離島においては一リットル百四十円以上の価格が続いております。このことは、地域経済、産業活動に大きな弊害をもたらしており、抜本的には沖縄県でとられているような税制面での特例措置を強く願うものでありますが、一方、海上輸送の円滑化により輸送コストが削減され、離島における市場価格の低減に寄与するであろう課題であり、また、石油関連製品だけに限らず、クルージングネットワークの充実も含め、幾つかの問題が含まれる課題です。段階的にでも早急な解決が求められますが、国土交通省など国との交渉はどのように進めておられるのか、どのような方向づけであるのか、本県としての取り組みとお考えをお尋ねいたします。  奄美群島には、農作物に大きな被害をもたらす特殊な病害虫が生息しており、農業振興の上で大きな障害となっております。これらの病害虫は、元来奄美群島に生息していたものではなく、南方より侵入してきた病害虫であり、植物防疫法により特殊病害虫に指定され、法的に寄生植物の未発生地への移出が禁止されていることは、奄美地域が日本本土への南方系害虫侵入の防波堤的役割を果たしていることを意味すると思います。  このようなことから、国と県は、これらの病害虫の根絶あるいは防除に力を注いでこられました。振り返ると、昭和五十四年にはミカンコミバエ、平成元年にはウリミバエの根絶を達成し、かんきつ類を初めとする作物の出荷が可能となりましたが、現在では、かんきつ類樹木を枯死させるカンキツグリーニング病が発生し、病原体は特殊な細菌であり、媒介虫であるミカンキジラミの駆除と蔓延防止への対策がとられておりますが、現在の状況と今後の取り組みについてお示しください。  また、サツマイモの重要害虫としてアリモドキゾウムシ、イモゾウムシ、サツマイモノメイガと三種の侵入種がおり、サツマイモ栽培振興に大きな障害を抱えております。特にアリモドキゾウムシにつきましては、県は、国の助成を受けて昭和六十三年からアリモドキゾウムシ根絶技術確立事業を実施し、その成果をもとに平成六年から不妊虫放飼法根絶実証事業を進め、さらに平成十三年から根絶事業を喜界島においてスタートしております。  本害虫の根絶に取り組んでおられますが、予算的問題もあり、現在、喜界島において一部の地域での実施であります。喜界島全体が実施されるまで今後何年かかるものかなあと考えられ、このスピードでいきますと、奄美全島での取り組みはこれから何十年かかるものかと大いに危惧されます。  輪作も含め、奄美地域におけるサツマイモ栽培など農業振興上の大きな可能性を考えると、もっとスピーディーな、集中的な取り組みを強く求めるところでありますが、昨今の三位一体改革の影響を受け、特殊病害虫対策費の交付金化が検討され、将来縮減が懸念されますが、この問題は一地域の問題ではなく、先ほど申し上げたように植物防疫法が指定しているように、奄美地域が日本本土への病害虫の侵入・蔓延防止の防波堤的役割を果たしているものであり、国に強く対策強化を求めるものでありますが、今後の本事業の計画と本県としての取り組みをお示しください。  最後に、戸玉地区における採石場亀裂対策についてお伺いいたします。  本年七月三日、戸玉地区における採石場に地盤の亀裂を住民の方が確認し、村へ通報されました。七月五日、県は採石業者に対し緊急措置命令を発令し、以降調査団を派遣、災害対策本部を設置し、七月九日、住用村は戸玉地区住民に対し避難勧告を発令いたしました。以来、戸玉地区住民の三十二世帯、七十二人の方が避難生活を余儀なくされておられます。  県当局におかれては、二十四時間監視態勢で臨まれ、台風十六号襲来前までに県の代執行により応急的な仮設的防護さくが設置されましたが、抜本的対策が早急に求められております。所管委員会の皆様にも急遽現地視察を賜り、現状と対策の必要性を訴えられ、伊藤知事も七月十七日、現場を視察され、早急な対応が必要と全力で対策を進められることを約束されました。  現在でも亀裂が進行し、一部崩落もありました。避難勧告より三カ月近くも経過する実情の中、住民の皆さんの不安と疲労、いら立ちもピークに達しております。現在、台風二十一号が襲来しており、影響が心配されます。住民の皆さんが住みなれたところで安心して暮らしたいと思うのは当然のことであり、対策の見通しを望んでおられます。さきの栄議員、まつざき議員の質問への答弁で、早急な恒久的復旧対策に取り組んでいかれる旨の御答弁を賜りましたが、具体的にどのような工法を検討されておられるのか、またスケジュール的にはどのような見通しなのかお示しください。  また、避難勧告対象の三十二世帯の大部分の方が高齢者の方々であります。大雨のとき、今回のような台風襲来のときには不安と避難を余儀なくされており、今後長期にわたるとするならば、受け入れ態勢など地元自治体だけでは対応ができない課題もあり、本県としての取り組みも求められておりますが、県の対応と今後の対策をお示しください。 23 ◯企画部長(岡積常治君) 地上デジタル放送波の長距離の海上中継につきましては、国において、通信事業者や放送事業者の協力を得ながら、海上伝搬の最長区間である中之島―名瀬間約百七十キロメートルで本年七月七日から実証実験を開始したところであります。実験は、平成十七年度にかけて既存の中継局にデジタル放送波中継局を併設し、実用機と同等の実験装置により実用化時の課題や対策装置の有効性を確認することとしております。  本県においては、デジタル放送の長距離海上伝送が大きな課題となっておりますことから、この実験の推移を注意深く見守りたいと考えております。  受信状況に関連してでございますが、デジタル波の伝搬・受信状況等については、既に放送を開始している関東・中京・近畿地域において国が実地調査を実施しているところでありまして、本県の放送事業者においては、この調査結果や長距離海上区間の伝送実証実験結果等を踏まえ、中継施設についての検討を行うと聞いております。  デジタル波とアナログ波を両方伝達するためには、新たにデジタル放送用機器の設置が必要となりますが、放送事業者においては、経費削減を図るため、既存のアナログ放送波用の中継塔にデジタル放送用のアンテナを併設することや、放送事業者間で中継機器を共用することなど、設備の併用等についても検討を進めているところであります。
     地上テレビ放送のデジタル化に際しましては、各放送事業者は限られた期間の中で多額の設備投資を行う必要があります。これまで、国においては、地上デジタル放送施設の整備に対する税制・金融上の支援措置を図ってきております。  県としましては、県開発促進協議会を初め、九州地方知事会や全国知事会を通じて、現状のアナログ放送以上の放送エリアの確保について国に要望しているところでありますが、今後とも、適切な対策を講じられるよう引き続き強く要請してまいりたいと考えております。  宝島―奄美大島本島間は距離が四十三海里、約八十キロメートルあり、その一部に、航行する船舶の設備・構造の基準が厳しい近海区域が設定されております。  県としましては、当海域における近海区域の規制緩和について、国に対し要請しているところでありますが、現在、国からは、当該海域のみの規制緩和は難しいとの回答を得ているところであります。しかしながら、地元における実態等の把握に努めながら、当海域における近海区域の規制緩和について粘り強く国に働きかけてまいりたいと考えております。 24 ◯農政部長(山田裕章君) 特殊病害虫対策についてであります。  カンキツグリーニング病につきましては、平成十四年に与論島での発生を確認して以来、大島本島を除く各島において確認され、県ではこれまで、国や市町村等との緊密な連携のもと、感染の確認、感染範囲の特定、感染した樹木の伐採処分などの対策を継続的に実施してきております。  また、病原菌を特定できるPCR検定機器等を整備し、検定の迅速化を図りますとともに、今年度より、効果の持続性の高い薬剤によるミカンキジラミの防除技術を導入いたしましたほか、地元住民への普及・啓発等を図りますための市町村カンキツグリーニング病対策協議会を設置するなど、根絶に向けた体制づくりに努めております。  県といたしましては、簡易な検定手法の開発や効果的な技術の確立、調査・防除等に要する財源の確保を県開発促進協議等を通じて国へ要望しているところであります。今後とも、国や市町村との連携を図りながら、本病の蔓延防止と早期根絶に努めてまいりたいと考えております。  アリモドキゾウムシにつきましては、世界的に根絶された例がなかったことから、喜界島の上嘉鉄地区において実証事業を実施し、不妊虫の生産技術の開発を初め、フェロモンを活用した誘引剤と不妊虫放飼とを組み合わせた根絶方法を確立したところであります。  現在、喜界島南部地域を防除区域として設定し、本格的な防除に向けた事前調査を行っておりますほか、週三百万頭を生産する不妊虫の大量増殖施設の整備や根絶技術のさらなる改善を図るための不妊虫の効率的飼育法、人工飼料の開発などに努めております。  県といたしましては、他の奄美群島の島々での根絶につきましては、喜界島での取り組みの効果の検証を踏まえまして、引き続き、必要な財源の確保を県開発促進協議会等を通じて国へ要望いたしますとともに、国や地元市町村等と連携して、アリモドキゾウムシの防除対策の推進を図ってまいりたいと考えております。 25 ◯商工観光労働部長(原田耕藏君) 戸玉地区採石場の恒久対策につきましては、今後、亀裂の推移等を見きわめながら、専門家の意見も聞いた上で、工法やスケジュール等について検討することといたしております。  また、住民への支援等につきましては、県営住宅等を確保いたしますとともに、住民の健康相談など、できる限りの対応をすることといたしております。  なお、万一土石流が発生した場合の対策として、土のう堤等を整備しておりますことから、避難勧告の取り扱い等につきましても、専門家の意見を聞いた上で住用村に助言してまいりたいと考えております。    [永井章義君登壇] 26 ◯永井章義君 それぞれ御答弁を賜りました。  デジタル波対策については、両方が伝達する期間、サイマル期間においては、やはり施設整備の面など幾つかの課題もあるようであります。施設整備に要する期間やまたその事業者の工夫やまたその負担を考えますと、事業者の方やまた自治体を含め、協議する案件もあろうと思いますので、早目早目の検証と国との協議をお願いいたします。  沿海・近海区域の規制緩和については、引き続き積極的な取り組みをお願いいたします。現状では、「としま丸」など旅客船、また石油や資材などの運搬船や作業船、ヨットや漁船など船の規模や種類、またどの分野のものを段階的に緩和するのか、また限定近海などへの手続のより簡素化など検討と工夫も必要だと思われます。重ねて取り組みをお願いいたします。  特殊病害虫の問題については、根絶・防除について今後も積極的取り組みをお願いいたします。農業振興上やはり大きな問題ですので、引き続きお願い申し上げます。  事業は違いますが、先ほどの答弁にもありました小池環境大臣一行が、先般希少動植物を保護する目的で実施しているマングース駆除事業の現地視察を行われました。より駆除効果を上げるために、事業期間、地域、予算を大幅に拡大させ、事業推進を集中させる考えを先般示されました。  特殊病害虫対策も同じような点があると思われます。根絶に向けた技法が確立されているのであれば集中的な対策がより効果的であり、また、本県において、他の害虫の蔓延について昨日打越議員の質問がありましたが、温暖化等の気候の変化など、今後、他の地域に絶対に蔓延しないとは言いがたいものがあります。ぜひ集中的な取り組みを強く要望いたします。  戸玉地区の問題に関しては、今日までの経過や実情については御承知のとおりであります。住民の方々の思いも十分理解しておられると思います。人命にも関係する問題ですので、地域とも連携し、抜本的解決に向けて早急な取り組みを重ねてお願い申し上げます。  今回、地域の課題について幾つかの質問をさせていただきました。現在、本県を取り巻く課題は、財政面の問題も含め、多難な状況であります。また、それぞれの地域においても多くの課題が山積しております。伊藤知事におかれては、厳しい時代の知事として御苦労もあろうかと思いますが、時代の変革と現状の打開のため、大胆かつスピーディーな取り組みを心から期待を申し上げます。  今回、若干時間がありますので、本議会はさきに行われた知事選におけるそれぞれのスタンスの表明の場でもあるようであります。私は、多くの方と語らいながら、信念に基づいて現状を打開をしたいと精いっぱい応援をさせていただきました。結果は、その実現はかないませんでした。  ただ、生意気な言い方をするかもしれませんが、我がふるさとを、それぞれの地域をよりよいものにしたい、鹿児島県のより一層の充実・発展を願う気持ちは、ここにおられる伊藤知事を初め、県執行部の皆さん、また議場におられる皆さん、それぞれ共通の思いであろうと思います。そういう思いを込めて、なかなか厳しい現状の中、本県も多難な状況ではありますが、伊藤知事の、現状を打開し、さらなる充実・発展に向けての今後一層の大胆かつスピーディーな取り組みを心から期待を申し上げ、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 27 ◯議長(川原秀男君) ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十四分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 28 ◯議長(川原秀男君) 再開いたします。  宇田隆光君に発言を許可いたします。    [宇田隆光君登壇](拍手) 29 ◯宇田隆光君 私は、現在、鹿児島県卓球連盟の会長という大変な役を任されていますが、私自身は、学生時代から社会人としての一時期までラグビーに明け暮れる毎日でありました。スポーツの試合が終わったときのコールは、試合終了、ゲームセットなど、それぞれ競技ごとに言葉が違います。ラグビーの試合が終わったときには、審判は両チームの全選手に「ノーサイド」と告げます。試合は終わりました。敵も味方もなくなりましたという意味であります。ラグビーのルールやマナーには、この紳士的精神が数多く取り込まれておりまして、私がラグビーにほれ込んだ理由もここにあります。だから知事選挙が終わったときから、私はノーサイドの精神に基づいて、数々の思いは水に流し、自分の務めだけを果たそうと自分自身に言い聞かせてきました。しかし、私は、人間が未熟でありますので、なかなか難しいことでありました。そこで私は、数々の思いは心の奥にしまい込んで鍵をかけることにしました。それでも今、私には心配なことが一つあります。それはラグビーで培った私の闘争心がいまだに衰えていないということであります。おかしいことはおかしいと言いたくなるのです。筋が通らないことは許せなくなるのであります。もう一人の自分が心の鍵をあけないように押さえつつ、自由民主党県議団は、与党でもなく野党でもないという、是々非々の立場で質問に入ります。  また、冒頭に申し上げますが、今回は知事の初めての議会であり、私も気合いが入っております。通告の最後の情報公開に関する質問は取り下げる旨、先日、執行部の皆さんにお伝えしましたが、他の質問も時間が心配でありますので、かなり早口で質問させていただきます。  まず、国が進めている改革について、知事の見解を伺います。  さきの新潟で開催された全国知事会では、国庫補助負担金の削減策に対して賛成する決議をされました。しかし、群馬、山梨、長野、三重、広島、愛媛、大分の七人の知事が最後まで反対され、十三人の知事が意見を付記される重要な内容を持つ会議であったにもかかわらず、伊藤知事は、いち早く、全国知事会開催前に、地元鹿児島において賛成を表明されました。伊藤知事が国庫補助負担金の廃止に賛成される談話を地元紙で読んで、その新聞を破って捨てたい気持ちになった議員がいるということを、後日、同じ地元紙が報じていましたが、その議員は私であります。地元紙は、知事の記者発表が、県議会、特に自民党県議団に、事前折衝、根回しなしに行われたことに反発があるという内容を記事にしていましたが、その点については、私とは考えが違います。私は、事あるごとに、議会に対して、事前折衝が必要などと考えているわけではありませんし、根回しが必要だとも考えていません。  議会は、三位一体改革への対応、義務教育費の一般財源化に対する意志表示、郵政民営化や道路特定財源の一般財源化に対する考えなどの意見書を採択し、反対の姿勢や要望事項等を明確にしています。私は、最近の国の改革の進め方や総務省が打ち出す地方財政の改革に、大きな不満を持っています。国会や政府は、地方議会が発する意見書等は、地方の声であり、国民の声だという感覚がなくなってきています。このことと同じように、鹿児島県議会の意志に反する方針を知事がいきなり発表されたことに、伊藤さんもやはりそうかと、憤りを感じたわけであります。議会の意見書や県の開促協の要望事項には、本県財政に大きな影響がないように、配慮願いたいという趣旨が書かれています。知事自身も国の関係機関に対して、このことに関する陳情活動をされていたのではないですか。いまだに要望事項に対する担保はとれていないではないですか。  全国知事会に関する報道記事や記録には、今回の改革で最も不利な結果を受け入れることになる鹿児島県の実情や意見要望等を述べられる伊藤知事の言葉は見当たりません。要望事項がきちんとされない状況下で、しかも最も重要な議論の場である全国知事会が開かれる前に賛成の意思を表明されたことに、私は憤りを覚えたのであります。議会の意見も民意を反映しているということを忘れないでいただきたいと願います。  まず、税源移譲と地方交付税についてでありますが、全国知事会は、平成十八年度までに、総額約三兆二千億円の補助金削減を柱とする補助負担金改革を決定しました。主な削減対象は、義務教育費、そのうち中学校教職員分として八千五百億円、公立学校施設整備費の一千四百億円であります。そのほかに公営住宅建設費一千五百億円、社会福祉施設費が一千三百億円など、そのほかにも重要な事業が続きます。税源移譲は所得税からの移譲で三兆円であります。この三兆円も本年度実施の六千五百億円は含まないということが担保されていません。内閣は含んでいるという見解を確認しています。平成十六年度の実施計画に見られるように、一連の税源移譲は都市と地方間の歳入の格差と、行政サービスの格差をますます拡大しています。平成十六年度の補助負担金廃止は一兆三百億円でありました。それに地方交付税と臨時財政対策債を合わせて、合計二兆八千六百二十三億円が削減されました。これに対して、国が税源を移譲した額は、所得譲与税と税源移譲予定交付金を合計してわずか六千五百五十八億円でありました。国の改革だけを再優先し、地方対策は完全に後回ししたものであり、地方からは不平、不満、批判、避難の大合唱が起こりました。既に実施された公立保育所の負担金の廃止に関しまして、こんな例があります。  人口一万人の地方のある町では、総額約八千万円の負担金がカットされましたが、税源移譲で町の歳入となった所得譲与税はわずか二千万円でありました。この結果、その町は六千万円の不足が生じ、不足分の一部を保護者負担に求めることになったということです。つまり、保育料の値上げをしなければならなくなったのであります。  これに反して、人口百七万人のさいたま市は、保育所の負担金を初めとする負担金交付金が十三億円カットされましたが、所得譲与税は十七億円になり、四億円ふえているのです。今、我が国の所得税の四八・五%、法人税の六二・七%、消費税の五三・四%が東京、愛知、大阪の三大都市圏で納められています。以上の三税の合計でも五三・八%は三大都市圏で納められており、鹿児島県の割合は〇・六%に過ぎません。また別の試算では、平成十六年度の国の補助費分を税率を平均化して移譲した場合、十程度の都府県が一・五倍以上の増収になりますが、半数以上の県が減収になり、鹿児島県を含む十七の県は二分の一にも満たない税収になると言われています。所得税から税源を移譲するこの方法は、計算基礎に人口割を用いており、いかに地方と都市の財政格差を拡大する方法であるか明白であります。その結果、県内自治体のほとんどが、交付税の大幅削減と重なり、致命傷的な打撃を受けたのであります。あってはならないことですが、これが市町村合併を進める誘導策だとしたら許せないことであります。この税源移譲の方法では、地方と都市の間に大きな格差が生じることになりますが、知事はどのような考えを持って、今回の税源移譲案に賛成されたのか伺います。  次に、不足分を交付税で補うという考え方について伺います。  補助負担金を廃止した分を、交付税に上乗せすれば、交付税総額はふえるはずですが、交付税総額は減り始めています。政府並びに総務省の方針を見る限り、三位一体改革とは関係なく、今後も交付税の総額抑制は続きます。また交付税の地方財政保障機能を縮小することや基準財政需要額に対する地方債の元利償還金の後年度算入措置を見直すことも政府、総務省の方針になっているのです。これは政府の交付税制度の維持そのものが破綻の危機に瀕していることが原因であり、今回の所得税の地方への移譲が実現しますと、さらに交付税に関する国の財政環境は悪化します。全国知事会でもこの種の発言があったと聞いています。そして今後の交付税は、基準財政需要額の算定基準の中で特定事業を目的とする義務的性格の経費を賄うものの割合がますます高くなってきています。このような状況が続くと、一般財源であるべき交付税をもとに、地方自治体が自由な裁量権に基づいて、独自の政策を展開するという地方分権に最も期待される財政上の余裕がますます少なくなってまいります。  そこで伺いますが、このように義務的性格のもの、経常経費的性格のものを減り続ける交付税に転嫁し、一般財源であるべき地方交付税の使途を制限するような方法で真の地方分権は実現するのか、知事の考えを伺います。  また、知事は、選挙戦を通じて一兆六千億円の県の借金が、二年後には鹿児島県を財政再建団体に転落させる危険があると批判されておりましたが、この借金のうち五四・七%は後年度の地方交付税措置により、国が国の責任において返済すべき約束のものであり、まして臨時財政対策債においては、県や市町村が国の肩代わりをしている借金であります。本来、法に基づき正当な権利として、地方自治体が受け取るべき交付税を、国は満額渡せない状況にあるにもかかわらず、地方財政を批判的にとらえている姿勢こそ、国が地方からの信頼を失っている原因であります。  ことし一月、突然、県の平成十六年度交付税が三百億円を超える減額になるということが知らされました。県の財政改革プログラムに基づく十六年度当初予算案は、大幅な見直しをしなければならなくなりました。事前情報は何もなく、寝耳に水の話でありました。この交付税の大幅な一方的削減が、九月補正予算を含めて、財政改革プログラムのレベルにまで回復できない大きな原因であることは誰もが認める現実であります。税源移譲の不足分を交付税で担保できるという知事の説明が説得力を持たない原因の一つがここにあります。何回も申し上げましたが、今回の改革は、地方が行政サービスを低下させずに、これまでの義務的な補助負担金事業を維持できる安定した税源保障なのか、知事の見解を伺います。  また、知事は、我が党の代表質問に答えて、小異を捨てて大同につくと言われましたが、今まで申し上げましたように、この地方の歳入の大幅削減をもたらす現実は小異ではありません。本県の財源を将来にわたって担保する前に小異ととらえ、賛成を表明される知事の気持ちが理解できません。知事が大同と言われる地方分権の推進は大事なことであり、今がチャンスだという思いは理解できます。しかし今、総務省が打ち出している地方財政の展望は、総論としては検討の余地があるかもしれませんが、鹿児島県や県内の市町村にとって分権は勝ち得ても、財政上の理由で、地方独自の事業には手も足も出ない状況が生まれるのではないですか。名目だけの地方分権を得るだけで代償が余りにも大き過ぎます。本県にとって、二重三重苦の分権を受け入れなければならないことになります。知事は、本県の財源をどのようにして確保し、どのような財政運営をされる考えか伺います。  次の問題は、税源移譲を伴わない河川砂防事業の一方的な廃止であります。  河川・砂防事業は、全国的に見て、整備率や現状が大きく異なる事業であります。また地理的条件や気候的条件が大きく異なり、都道府県によってこの種の事業の必要性が大きく異なっていると判断されたものと思います。しかし本県は、知事が就任後、すぐに体験されたとおり、台風常襲地帯であります。また八・六水害は、治山、砂防と河川改修のおくれを本県県民に痛感させた出来事でありました。このような事業が廃止対象になること自体に、安心して住める国土づくりに対する国の姿勢を疑いたくなります。私は、この治山、治水、砂防に関しては、後ほど述べます義務教育に関する件と同様に、財政論議の前に、国が国の責任としてなすべきものは何なのか、地方に任せることで、我が国の均衡ある発展と安全の保障に支障は生じないのかと、しっかりと議論してほしかったと思っています。  また、この事業の財源であった建設国債を税源移譲の対象にすることに、財務省と総務省の見解が異なり、結論は出ていません。さらに、反対意見が多い市町村分は積み残して、反対意見が少ない、やりやすい都道府県分から先行するという、この一貫した基本的な理念のない判断にも腹立たしさを感じています。この河川・砂防関係の補助事業の廃止については、熊本県知事を初め、何人かの知事が異論を述べられたと聞いていますが、河川・砂防ともに全国一、二位の予算を必要としている鹿児島県知事の発言は聞こえてきませんでした。知事の見解を伺います。  次に、政府が進めようとしているほかの改革に対する知事の見解を伺います。  まず、郵政民営化であります。さき述べましたように、本県議会は、郵政事業の民営化には反対の姿勢を表明しています。本県の地理的特性、過疎の進行等を考慮すると経営効率を優先する民営会社になりますと、サービスの地域間格差が増大するなどの心配が生じてきます。国内どこに住んでいても同じサービスが、同じ負担で受けられる公的性格を維持したままで郵政事業を継続すべきと考えますが、郵政三事業の民営化に関しての知事の見解を伺います。  次に、道路特定財源の一般財源化であります。  このことも議会では反対の意志を表明しています。本県の高速自動車道路整備は、東九州自動車道にしても、西回り自動車道にしても、現状の予算が毎年ついたとしても、あと三十年はかかると言われています。県の高規格道路の整備にしましても、県道、市町村道の整備にしましても事情は同じであり、本県の道路行政はまだまだこれからであります。財政が厳しさを増す中で、なおさら道路特定財源は堅持しなければなりません。  さらに、もう一つ反対する理由があります。戦後、車の増加にあわせ、我が国の道路事情を重点的に改善する方策として、揮発油税を初めとする道路特定財源が生まれたのです。道路使用者が異常に高い特別な税負担をしているのも、我が国の道路事情の改善に期待してのことです。この税を一般財源にすることは税負担をしている国民は納得しないと思います。たばこ消費税を値上げして、国鉄時代の借金返済に充てたような、わけのわからないことに使ってほしくないのであります。また知事会では、国の道路特定財源の一部を地方に移譲するよう要望されていることも聞いています。そこで、この道路特定財源の一般財源化について、知事はどのように考えておられるか伺います。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 30 ◯知事(伊藤祐一郎君) 幾つかのお尋ねがありましたので、順次お答えさせていただきたいと思います。  今回の税源移譲に関連いたしまして、今回の税源移譲が都市と地方の格差をかえって拡大するのではないかというお尋ねがございました。  政府は、本年の六月四日に閣議決定いたしました骨太方針の二〇〇四、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四におきまして、税源移譲はおおむね三兆円を目指すことといたしまして、また平成十八年度までに所得税から個人住民税の本格的な税源移譲を実施するとしたところであります。またその応益性や偏在度の縮小といった観点を踏まえ、個人住民税所得割の税率をフラット化する方向で検討することとされているところであります。現行の個人所得割の税率は五、一〇、一三%でありますが、もしこれを一〇%でフラット化する一定税率からいたしますと、総額で約三兆円の個人住民税が増額されますが、地方圏では所得階層の低いグループに属する住民が多いことから、地方税の税収のシェアが現在よりわずかながら上昇いたしまして、結果的に税率の一本化で所得格差によります税源偏在が若干是正されるということになっております。国から地方への税源移譲に当たりましては、税収が安定していること、地域的な偏在の度合いが低いこと等が求められていると思います。個人住民税につきましては、フラット化することによりまして、地域の偏在度が低下し、また地方公共団体のサービスの受け手であります住民が、それに必要な経費を分担するという、いわゆる負担分任という税の基本的な原則にも合致いたしておりますので、所得税から住民税への税源移譲は、実現性の高い選択肢であると考えております。  続きまして、交付税の使途の制限についてのお話がございました。三位一体の改革の柱であります国庫補助負担金の廃止に伴いますところの税源移譲の実現は、私は地方分権をさらに進める上で、最重要課題であります地方税財源の充実を図り、いわゆる財政自主権を高め、国による関与・規制の見直しと相まって、地方公共団体の今後の地方分権を進めるために、必要なものであると考えております。  義務的性格や経常経費的な性格を持つ補助金につきましても、一般財源化することによりまして、地域住民のニーズをより反映しやすくなること、これまで行っておりました補助金の申請事務から折衝等に関します膨大な時間、経費が不要になることから、地方の裁量度を高め、自主性を大幅に拡大することにつながるものと考えております。  交付税による財源保障の信頼性についてのお尋ねがありました。  先ほど申し上げました骨太方針の二〇〇四におきまして、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額は確保することが閣議決定で盛り込まれておりますので、私は、平成十六年度のような地方交付税の一方的な削減は、十七年度におきましてはないものと考えております。  また、国庫補助負担金改革につきましても、今回、地方六団体によってとりまとめられました改革案におきまして、税源移譲が行われましても、個々の団体につきまして、移譲額が国庫補助負担金の廃止に伴い財源措置すべき額に満たない場合は、地方交付税の算定を通じて確実な財源措置が行われることが前提になっており、この条件が確実に実行されますれば、必要な財源は確保されるものと考えております。  三位一体改革の結果、税源の豊かな団体は、税収が増加し、その分地方交付税が減少する。一方、税源に恵まれない団体は、鹿児島県もそうかと思いますが、結果的に地方交付税が増額することになるものと考えております。  いずれにいたしましても、今後の三位一体の改革に当たりましては、地方六団体によりとりまとめられました国庫補助負担金の改革案に沿った国庫補助負担金の廃止に対応いたしまして、十分な税源移譲が行われること、また地方交付税の財源保障機能、財源調整機能は、あくまでも堅持すべきことを、いろんな機会をとらまえまして、国に対し強く主張してまいりたいと考えております。  河川改修事業、砂防事業等についてのお尋ねがありました。  本県は、これまで台風でありますとか、集中豪雨等によりまして、大変大きな災害を受けておりまして、この河川改修事業、砂防事業等について、災害未然防止のための対策を引き続き推進していかなければならない状況にあることは、議員と同じ考えであります。  公共事業にかかります国庫補助負担金につきましては、その財源が国債、建設国債であることを理由に、移譲すべき財源がないという指摘が確かになされているわけでありますが、建設国債が発行されますと、毎年理論的にはその六十分の一ずつが元利償還されることが想定されておりますので、制度的には、その事業の国庫補助負担金を廃止した場合、今後六十年にわたってその償還財源分を地方に移譲すべきということになるわけでありますが、その総額をまとめて地方に税源移譲することも一つの方法でありますので、これにつきましては、今後十一月に向けて国において議論がなされることになると思います。  三位一体改革の中で、この税源移譲にあわせて、今回地方六団体によりとりまとめられました国庫補助負担金の改革にありますとおり、地方交付税の算定を通じて、確実な財源措置が行われることによりまして、お尋ねの河川改修でありますとか、砂防事業等についても、引き続き必要な事業は実施できるものと考えております。  次に、郵政三事業の民営化についてのお話がありました。郵政事業の民営化につきましては、去る九月十日に、郵政民営化の基本方針が閣議決定され、平成十九年四月に日本郵政公社は廃止した上で、純粋持株会社を設立いたしまして、その傘下のもとに郵便事業会社、郵便の貯金の会社、郵便の保険会社及びこれらの窓口事務を受託いたします窓口ネットワーク会社の四つの事業会社を置くこととされたところであります。  また、郵便事業につきましては、引き続きいわゆるユニバーサルサービスの提供義務を課しますとともに、窓口ネットワーク会社における窓口の配置につきましても、過疎地の拠点維持には配慮することとされたところでありますが、その具体的な設置基準のあり方等につきましては、今後の制度設計の中で検討していくこととされているところであります。  私は、郵政事業は、郵便、貯金、保険の三事業を通じまして、地域社会に密着したサービスを提供しており、特に本県のような離島や過疎地域の多い県におきましては、県民生活と密接にかかわっていることから、なくてはならないものであると認識いたしております。このため、今後とも郵政事業の民営化につきましては、ユニバーサルサービスの維持等の問題について、国の検討の推移を大きな関心を持って見守りますとともに、県民へのサービスの低下につながることがないよう、適切に対処してまいりたいと考えております。  道路特定財源の一般財源化についてのお尋ねがありました。  この道路特定財源につきましては、平成十五年度の予算編成時におきまして、暫定税率の適用期間が五年間延長され、制度の確保が図られたところであります。これによりまして、本県にとりましても、南九州の西回り自動車道でありますとか、新直轄方式によります東九州自動車道の整備など、おくれているその道路整備を計画的に進めていくことができるものと考えております。「力みなぎる・かごしま」を創造していくためには、高規格幹線道路や地域高規格道路を初めとする体系的な道路網の整備が不可欠であると考えておりまして、引き続き道路特定財源が安定的に確保される必要があると考えております。    [宇田隆光君登壇] 31 ◯宇田隆光君 いろいろ答弁いただきましたが、次の質問も関連がありますので、知事の答弁に対する要望等はまとめてさせていただきます。  それでは、教育に関して伺います。  全国知事会の場で、多くの知事が義務教育費国庫負担金の廃止に関して異論を述べられたと聞いていますが、私の考えも含めてお伺いします。  これまで、道州制を推進する立場にある地方制度調査会、地方分権改革推進会議、自民党の国家戦略会議等は、道州制を実現するに当たり、道州制移行後の国が責任を持って当たるべき事項に、外交、防衛、そして教育、福祉の基本的な部分があると述べています。現在、教育基本法の改正も、国や地方において議論されていますが、その議論の中でも、教育の基本にかかわる部分は、国が責任を持って定めるべきだという考えが根底にあります。義務教育は、全国どこに住んでいても平等にその機会を得られ、施設設備についても地域によって格差が生じてはなりません。また児童生徒の負担も平等でなければなりません。全国知事会のみならず、その後の地方六団体の会議でも、義務教育費の取り扱いに関しては、特に異論、反論が続出したと聞いています。  そこで、教育、特に義務教育の基本的な事項については、国が国家百年の大計に立って、国の責任において直接取り組むべきだという意見があるにもかかわらず、地方独自の財源に移し、義務教育の基本的な部分までその権限と責任を地方に移譲することに賛成された伊藤知事の見解を伺います。  次に、三十人学級について伺います。  知事は、マニフェストの中で、三十人学級の導入について述べておられます。そしてこれまでの代表質問や一般質問でも実施する考えを述べてこられました。しかし私は、今急いで三十人学級を実現することに疑問を抱いています。財源の問題があります。この厳しい財政事情の中で、どのようにして財源を捻出されるのか。知事が言われる事業の優先度を考えても、ほかは置いてでも急がなければならない課題なのか。今、県教育委員会が取り組んでいる小学一年生を対象にしたすくすくプランや小学二年生を対象にしたモデル事業では効果が薄いのか、知事の考えをただしたいと思っていますが、まず私は、急いで実施しなければならない課題は、ほかに山積しているということから申し上げます。  ある校長先生が、遅刻対策が大変だと言っておられました。よくよく聞いてみると、子供の遅刻ではなく、教員の遅刻対策でありました。子供と真正面から向き合って、体当たりで教育に当たることができない教員がいるのです。騒いでいる子供をおとなしくさせることができない教員がいるのです。能力的に、また性格的に、教職に向いていない教員がいるのです。校長先生以下、教職員が心を一つにして取り組んでいる学校では、各種分野で大きな成果を上げているのですが、学校という組織の中で、協調していけない教員がいることが問題なのです。四十人学級制でやれない教員は三十人でもやれないという現場の声をどう受けとめますか。  知事に申し上げますが、今、教育現場で問題視されていることの本質は、一クラスの子供の数ではなく、教員の適格性と質の問題だということに気づいてほしいのであります。しかしPTA会長を十一年も努めてきた私の経験から、本県の教職員にはすばらしい能力と情熱を持った教員がたくさんおれらることも申し添えておきます。今後もこのような優秀な教員を採用するとともに、研修費等を充実してさらに能力の高い教員を育てることに財源を向けてほしいと考えています。  また、本県は、地理的条件から小規模校が多いという事情があります。すべての中学校、高校に、専門教科ごとの教員を置けない現実があります。こういった学校への専門教職員の配置こそ、むだと言われようが、限りなく理想に近い形を実現するために、財源を捻出すべき課題であります。  知事が一方的に三十人学級を実施された場合、施設設備の整備に責任を持つ市町村は、教室の増加、机、いすの確保等に責任が持てるのか、その財源はどうするのか、市町村の本音を聞いてからでも遅くはないと思います。他の県や市町村でもてはやされている政策だからといって突き進む前に、時間をつくり、現場の先生と校長先生と親と市町村の関係者と本音で語ってみてください。ただ市町村と教育委員会には、知事から問われて、三十人学級の実施を否定的に答える人は少ないでしょう。しかし重ねて申しますが、ほかは置いてでも急いでしなければならない課題はほかにあります。今一度立ちどまって検討する考えはないか、知事の見解を伺います。  次に、マリンポートについて伺います。  知事は、マニフェストで「既に着工済の工事以外の部分については、新たな事業着手を停止します。今後の工事計画を大胆に見直します」と言われています。そして我が党の代表質問で、具体的な考えをただしました。  ここで、まず申し上げておかなければならないことは、知事は選挙期間中に、多くの県民に大きな誤解を与えていたということです。私は、知事選挙にかかわった者として、特にマニフェストにかかわっていた者として、立候補してマニフェストを発表された方のものはすべて読み、検討させていただきました。そして県民の思い、苦言、提言、賛成、反対の意見等を数え切れないほど聞きました。その中で、多くの県民が、伊藤さんはマリンポートは、今発注している工事までで、あとはやらないと受けとめておられました。今、発注している工事とは、本年度発注の工事だと理解している方が多かったのも紹介しておきます。私自身がマリンポートに鹿児島県発展の夢を乗せていますから、そのような反対の意見を持つ方々に、時間をかけてマリンポートの必要性と今後の展開を説明し、理解していただくように努めました。しかし、知事が言われる公共事業についての説明責任の重要性と正しい情報が伝わっていない怖さを強く感じました。知事は、マニフェストのほかのテーマでも次のようなことを述べておられます。  例えば国際交流に関して、「かごしまを起点とした国内はもちろんアジア諸国をはじめとする国外も含めた人的物的交流を活発化し、国際交流県かごしまの形成に努めます」と言われています。アジアの国々との交流に、長年取り組んでいる者の一人として、大いに支持したい公約であります。  また、観光振興に関して、「新幹線・航空機・船舶といった陸海空にわたる交通ネットワークを活用し、九州から近畿まで、さらにはアジアも視野に入れた観光戦略を展開します」と言われています。これも実現してほしい公約です。特に大型観光船は、適当な埠頭がなく、現在は理想にほど遠い埠頭を使用しています。青い海、青い空、緑豊かな自然、雄大な桜島、きれいな空気など、鹿児島のイメージを壊さないところで鹿児島への第一歩を踏んでほしいと望んでおられる方は多いのです。  さらに、救急医療に関して、「離島地域を多く抱える本県の地勢を踏まえ、鹿児島市内の医療機関との連携の下に、救急用ヘリポートを開設します。将来は三次救急医療体制の整備を視野に、ドクターズヘリの運用を目指します」と言われています。  離島を抱えるという表現には抵抗を感じますが、先ほどの答弁で、言い方を変えておられました。いいことです。マリンポートの計画には、アジアとの交流拠点の整備、船舶を生かした観光の振興、安全性と機能性の高いヘリポートの設置など、知事がマニフェストで約束しておられる公約を実現するための計画がすべて網羅されています。まさしく伊藤知事が考えておられるような鹿児島県の発展の鍵を握る夢を実現するのがマリンポートなのです。  また、知事はマニフェストの道路政策では、具体的路線名を挙げて方針は述べておられませんが、南北幹線道路の産業道路への結節点にマリンポートは位置づけられています。財政的に厳しい時代ではありますが、南北幹線道路の早期実現は、だれもが望んでいることであります。これまで県の関係者があらゆる面から必要性や経済性を検討し、国の直轄事業や補助事業等を導入して事業費を抑え、工法も考えられる最良の方法を取り入れて進めている事業であります。議会でも深夜に及ぶ議論を重ね、実施を決めた重要な事業なのです。県民の皆さんにマリンポートが生み出す経済効果と九州の南に位置する地理的特性を生かして、鹿児島が南九州の拠点として生き残るために必要なものだということを納得してもらえるまで説明すべきであり、安易に中止を言えるほど軽い計画ではないということです。今、マリンポートが政争の具にされていることに悲しい思いを持っています。知事が選挙中に県民に述べられたマリンポートに関する考えを就任後の今、どのようにとられておられるか伺います。  次に、公共事業について伺います。  新聞の「候補者に聞く」という記事によりますと、知事は、事業も例外なく見直す。福祉や教育など、本当に必要なものに特化し、スリムで質の高い行政を実現する。優先順位をつけ、一定の事業は確保する。道路や下水道の整備など、生活関連の公共事業までは否定しないと言っておられます。またマニフェストでは、「地域の事情、市町村の意向を十分踏まえながら、優先度を判断し、地域の基盤整備に努めます」と言っておられます。  本県では、県が発注する公共事業は、ピークの五年前と比較して、昨年度末には、事業費ベースで三三・七%、発注件数で一八・九%減少しています。本年度はさらに減少し、事業費では五〇%近い減少になることが予想されます。このことは何を意味し、どのような結果を招いているか考えてください。よくむだな公共事業と言われますが、私は、工事の進め方、工法の検討、資材等の検討、発注の仕方など、むだというより事業費を抑える余地はまだまだあると思いますが、鹿児島県がこれまで進めてきた公共事業にむだなものはないと確信しています。我々議会議員はもちろんですが、市町村長の方々も住民から受ける要望等のほとんどが公共事業の実施につながっていくのです。地域の事情、市町村の意向を伺ったと知事は言われますが、地域にとって、それぞれの市町村にとって、我が地域、我が市町村が一番であるのです。それは当然なことであります。
     また、本県は、建築、土木を含めて、建設関連事業に携わっている労働者の割合が非常に高いのです。県平均で十数%を超えています。三%前後の東京を初めとする都市圏とは事情が大きく異なるのです。都市の論理で公共事業をたたいてほしくないものであります。  ここ数年、新しく当選された知事や市町村長が、公共事業の廃止や縮小を公約される手法がもてはやされ、時代の流れみたいにかっこよく言われていますが、すべての公共事業には、それぞれの目指す目的があり、地域の強い要望があり、その事業の実施で生活の糧を得ている県民がいるということを忘れないでいただきたいと、強く申し上げたいのであります。  本県の離島では、建設関係の労働者の割合が三〇%を超えています。他の産業基盤の構築をしないままで、公共事業だけを一方的にカットし続けますと、地域の経済は破綻し、過疎化はますます進展し、取り返しのつかないことになります。  また、知事は、福祉や教育に特化してと言われますが、私も確かに福祉や教育は非常に重要なことだと強く認識しています。だからさきに申し上げましたように、福祉と教育は財政のみならず、その制度の充実も含め、国が国の責任で実施すべきであり、地方自治体が財政とにらみ合いをしながら取り組む性格のものではないと申し上げたいのであります。  社会基盤の整備が大きくおくれ、取り残された疎外感、失望感を抱いておられる地域が存在し、若者の流出が続いています。知事が言われる教育や福祉を支える地域の力そのものが失われていくのです。今、腹が減っている人をその場だけ喜ばせても、またすぐに腹は減ります。それよりも、将来のための投資を惜しまず、若者が定住できるための社会資本の整備を怠ることなく、着々と進めることが重要なんだと考えます。そのための事業と予算の確保に知恵と汗を出してほしいものであります。その場しのぎの財政上の数字合わせのために、公共事業を犠牲にしてほしくありません。  県単公共事業に関する財政改革プログラムの方針は、対前年度一〇%の減であります。交付税の一方的な大幅な削減という辻斬りに不意打ちをくらったような事態が生じたため、当初予算では二〇%削減の予算編成しかできませんでした。この九月議会補正予算でも回復していません。この問題は今回の質問では通告しておりませんが、財政改革プログラムの変更を私は承諾した覚えはないということだけは申し上げておきます。  公共事業に関しては、経済効率とか、投資効果とかよく言われますが、県内どこに住んでいても、同じようなサービスが受けれられるように、公的責任のもとに、安全性の確保、時間の短縮、快適な生活空間の整備、産業基盤の整備などは努めなければなりません。経済効率が悪くても、投資効果は少なくても、そこに人が住んでいる限り、政治の責任として、しなければならないことはしなければならないのです。  また、公共事業と建設業者の関係をゆがんでとらえ、公共事業そのものを悪者にしている昨今の動きに対して、私は大いに反論したいし、特に鹿児島県は事情が違うことを叫びたいのであります。  そこで、知事が言われる福祉や教育に特化して他の事業は大幅に見直すという考えの真意を改めて伺います。  次に、農政について伺います。  WTO交渉がまとまる気配を見せています。我が国の主張がある程度認められたにしても、本県農業に与える影響は大きなものがあります。またFTA交渉についてもメキシコとの協定に基づき、政府は関税に関する法律の改正に着手しました。全農の子会社が鹿児島の農家の血のにじむような努力をあざ笑うかのようにして、豚肉を輸入した輸入先の一つがメキシコであります。メキシコが最も期待している豚肉とオレンジジュースは、鹿児島の脅威です。そして今、政府が真剣に交渉を進めている次の相手国がタイであります。ここでは米、鶏肉、でん粉等が主要品目になっています。米は全国的な作物で関心が高いようですが、鶏肉、でん粉は、鹿児島などの国内の一部地域しか影響を受けませんので、全国的な反対運動や国内対策を求める運動には発展しにくいと考えます。  輸入農産物に負けない農業を構築するために、本県では、安全・安心対策に力を注ぎ、輸入農産物との差別化を進めています。ところが農産物輸出国でも安全な農産物の生産に力を入れ始めていますし、日本の安全・安心のための各種基準が、貿易障壁だという非難の声になっているのも事実であります。しかし本県産業の重要な位置づけを担っている農業を守り育てるためには、思い切った国内対策と県内対策が先手、先手で求められています。  WTO協定の中でも、緑の政策に位置づけられる国内農業の保護育成のための補助政策は認められているのです。やれることはあります。本県としても、いつものように、国の動向を見守る姿勢では、決定後に本県農業が壊滅的な打撃を受けることは必至であります。知事は国が進めるWTO交渉やFTA交渉に対して、どのような見解を持ち、国内対策としてどのようなことを望み、県内対策として、どのような対策をとられる考えか伺います。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 32 ◯知事(伊藤祐一郎君) 一番最初の質問のときに、宇田議員は、ラグビーの愛好者であるという話でありました。フェア精神で競技をなさったかと思いますが、例えば、先ほどの福祉や教育など、本当に必要なものに特化し云々ということで、いかにも公共事業等をいわば一方的に削減するような、そういうニュアンスの発言があったわけでありますが、その後の記事といたしまして、「公共事業等を一気に削ったら混乱を招いてしまうと、優先順位をつけ一定の事業は確保する。道路や下水道整備など、生活関連の公共事業まで否定しない」明確にそういう記事が出ているわけでありますので、そこもあわせてお引きいただければありがたいと思います。  義務教育制度の基本的な考え方についてのお尋ねがございました。  義務教育制度につきましては、その根幹は、教育基本法で守られておりますが、さらに国は学校教育法で教育の内容や達成すべき水準に責任を持ち、学習指導要領で教えるべき教科その内容を細かく規定しているところであります。また義務標準法におきまして、教職員の配置の適正化を図る必要な事項を定めており、この制度を通じまして、義務教育について、国が責任を持って当たる分野であることは明確であると考えておりますが、このことから、直ちに義務教育費国庫負担制度を恒久的な制度として、国が維持すべきであるということにはつながらないものと考えております。  また、義務教育費の国庫負担金を一般財源化するに当たりましては、地方六団体の改革案では、教育に係る国庫負担金について、確実に十割の税源移譲を行うべきであること、離島の小規模校の小中学校にかかる教職員給与費等についても配慮が必要であること、さらに都道府県間において、教育費の水準に著しい格差が生じることのないよう、法令に明記するなどの措置についても考慮すべきであることが示されておりまして、教育の機会均等の保障についても十分に配慮がなされているところでもあります。したがいまして、私といたしましては、義務教育費国庫負担金につきましては、三位一体改革の趣旨を踏まえまして、国庫負担金に相当する額が保障されることを前提に、税源移譲の対象補助金とすることに賛同いたしたものであります。  なお、今後とも国が義務教育費につきまして、先ほど申し上げましたように、現行の制度の責任者としての立場を保持するのは当然であると考えてはおりますが、また一方で、学習指導要領の内容、学級編制基準、それから教員配置基準等々の弾力化等、地方団体の教育の重度を増すための制度改革が、地方分権の立場から進められるべきこともまた当然であると考えております。  三十人学級の導入についてのお話がありました。  御指摘もございましたが、本県におきましては、小学校低学年におきます三十五人学級編制等は導入しているところでもあります。このことによりまして、教師と触れ合う時間がふえた、あるいは生活面や学習面の基本的なしつけが身につくようになってきたなど、一定の成果が見られているところでもありますが、小学校低学年は学習意欲を身につけたり、他人へのいたわりや思いやりの心を養うなど、人間としての基礎をはぐくむべき最も大切な時期であると考えております。したがいまして、子供たち一人一人にしっかりと向き合ったきめ細やかな教育をより一層充実させる必要があると考えておりまして、大変厳しい状況でありますが、早期に対応すべき課題の一つとして、来年度から三十人学級編制を導入しようとするものであります。  また、教員の問題等との指摘がありました。  それにつきましては、直ちに解決されるべき問題であることは当然でありますが、これが三十人学級施行の制約要件とは考えてはいないところでありまして、また教育の充実のために躊躇すべき時間はないと考えております。  マリンポートかごしまに関する御質問がございました。  マリンポートかごしまにつきましては、既に着工済みの貨客の兼用岸壁は引き続き整備を進めますとともに、その活用を図るために、必要不可欠な一期一工区の埠頭の埋め立てや橋梁を含むアクセス道路等もあわせて整備を進めることといたしております。  一期一工区の埠頭の埋め立てを認める以上、その活用を図るためのアクセス道路につきましては、その整備を図ることが合理的であると考えております。  一方、残りの一期二工区部分につきましては、特に上物の計画につきまして、県民の合意が形成されているとは考えておりませんので、県民の意見を幅広く伺い、社会のニーズも踏まえて、大胆な見直しを行うこととしております。このための検討委員会を近く設置いたしまして、審議内容について情報公開に努めながら、上物の計画を含め、二工区のあり方をとりまとめていきたいと考えておりまして、この検討委員会の結果を得て、それを参考に今後の整備方針を定めていきたいと考えております。  最後に、公共事業のあり方についてのお尋ねがありました。本県の財政状況、御案内のように大変厳しい状況でありまして、毎年度、構造的な財源不足が生じることは避けられない大変厳しい状況になってきております。したがいまして、すべての行政分野にわたり例外を設けることなく、これまで以上にさらに踏み込んだ歳入歳出両面にわたる徹底的な見直しが必要であると考えております。  公共事業につきましては、地域経済を支える大変重要な産業であることは十分承知いたしておりますが、今後とも大変厳しい財政状況が続きますので、持続可能な行財政構造の確立に取り組む一方で、毎年度の予算編成の中で、地域の事情を考慮し、優先度による一層の峻別と重点化を図りながら、県勢発展の基盤となる社会資本整備に努めてまいりたいと考えており、このような観点から九月補正予算の単独事業等を計上したところであります。 33 ◯農政部長(山田裕章君) WTO農業交渉及びFTA交渉につきましては、県はこれまでも県開発促進協議会等を通じて、サツマイモや畜産物など、本県農畜産物に影響を及ぼさないよう十分配慮することなどを国に対し強く要請してきたところであり、今後とも、これらの交渉に当たりましては、食料安全保障や農業の多面的機能への配慮など、日本提案の基本的姿勢を最後まで貫くよう、関係機関・団体等と一体となって強く要請してまいりたいと考えております。  また、現在、国における食料・農業・農村基本計画の見直し作業の中で、品目横断的政策等について議論がなされておりますが、県といたしましては、この見直しに当たり、畜産やサツマイモなど、品目別価格政策が果たしてきた役割や地域の実情にも十分配慮することを引き続き主張いたしますとともに、さらなる地域間競争の激化が想定されますことから、今後策定予定の食と農の先進県づくり大綱に基づく施策を通じまして、鹿児島が全国に誇る農業の振興に全力で取り組んでまいりたいと考えております。    [宇田隆光君登壇] 34 ◯宇田隆光君 いろいろ御答弁いただきました。  まず、三位一体改革とそれに関連する問題についてでありますが、税源移譲につきまして、今の国が示している、そして議論されている所得税を住民税に振りかえていく、そして配分方法等を聞く限りにおいて、私には都市に厚く地方に薄い配分方法であるという感覚は、知事の答弁を伺っても変わっておりません。  それから、交付税によりまして不足分を補うという説明を知事はされております。知事が言われるとおりに、総務省が、政府がきちっと担保してくれるなら、少しは期待の持てる方法であろうかとは思いますが、現実的に、今、政府、総務省は、地方交付税の総額は抑制するという方針を出しているわけでありまして、三位一体改革はなくても地方交付税の総額は抑制され続けていくと私は考えております。そのような少なくなっていく交付税の中に、先ほど知事は地方分権のもとに、自由にやれる範囲が、あるいは自由にやってほしいという目的だと言われますが、例えば中学校の義務教育費的なものというのは、自由にやれるものではなく義務的なものだと私は思っております。少なくなっていく交付税の中で、義務的な部分がウエートを増していくとすれば、地方の知事、市町村長ががそれなりの裁量権に基づいて、自由な発想でできる本当の地方分権的財源がますます少なくなっていくのではないか。自主財源を含めて、一般財源が少なくなっていくのではないかという危惧を持っている観点からお聞きしたわけであります。  砂防事業、義務教育は、見解の違いでもございましょうが、やはり私は、教育、福祉、国土の安全、外交、防衛はもちろんでございますが、国が国の責任としてやっていくべき事業の性格のものだという思いを持っております。そういう思いからしまして、今回の地方分権に基づく財源移譲、事業の移譲にはなじまない科目だという考え方を持っております。  また、公共事業について申し上げますが、九月議会前の我が党の勉強会の中で、今回も県単事業は二〇%減の提案でありました。正確には二〇%を超えております。そのときにも申し上げました。六月補正、九月補正、十二月補正、三月補正、そういう中で財政改革プログラムのレベルまで返していくものと私は思っておりました。それは必至目標ではないということはわかっております。ただそこに向かって努力されるものと思っておりましたが、担当者の説明では二〇%減が当初予算のときの合意であり、このままいくという説明をされました。それに対して私は、県単公共事業の二〇%減を承認した覚えはないと申し上げたのでありまして、公共事業のこの部門だけとは申しませんが、公共事業のこの部門に、集中した財政運営をされているのではないかという思いを私は持っております。  いろいろ申し上げましたが、知事就任後の二カ月の間の行動を見ていますと、精力的に動いておられ、鹿児島県という大木の、これまで地味であった枝に、ぽつっ、ぽつっと花が咲いていることは評価します。私は、枝に花が咲いても、大木を支える幹と根っこが枯れたら何にもならないと心配しているのであります。  私が冒頭に申し上げました是々非々とは、おかしいと思うことはおかしいと言い、評価すべきことはきちんと評価することであろうと思います。これまで多くの議員が申された知事の評価を、否定するものではありません。貧乏という表現は、私自身のことを言われているようで好きではありませんが、我が愛する鹿児島県は非常に厳しい状況下にあります。今後この厳しさはさらに増すことが十分予想されます。  知事は、鹿児島から日本を変えると言っておられます。鹿児島から総務省を変えるとも言っておられます。私が理想とする知事像そのものであります。そのためには政府にはっきりと物を言ってください。ときには体を張って、総務省とけんかしてみてください。そのときには私も一緒になって戦います。  今回の質問で不適当な言葉や表現が多々あったと思います。今後は、徳留のりとし先輩に、正しい標準語を習い、品位のある質問ができますように努力することをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手) 35 ◯議長(川原秀男君) 次は、日高滋君に発言を許可いたします。    [日高 滋君登壇](拍手) 36 ◯日高 滋君 今議会の一般質問も私でいよいよ最後となりました。お疲れでありましょうが、しばらくのおつき合いをお願い申し上げます。  昨日は、小泉第二次改造内閣が発足いたしまして、鹿児島出身、私どもの尾辻秀久先生、そして南野先生、大臣に就任されました。お二人の御活躍を心より御祈念申し上げる次第でございます。  さきの台風におきまして、農作物等の被害については、被害状況をしっかりと把握していただくとともに、救済や支援措置など、事後の対策を確実にやっていただきますようにお願いいたします。  この対応が、今後の農家の皆様のこれからの農業に対する取り組みや情熱、やる気というものに強くかかわってくるものと考えております。知事もマニフェストに示しているように、県産農産物移出額二〇%アップも約束されております。それだけにあらゆる制度を活用し、きめ細かな、心温まる取り組みを要望いたします。  また同じく、今回、台風により、海岸線や港など、至るところが侵食、破壊されて、今までにない被害を受けております。このことも担当部署でしっかりと把握され、伊藤知事の申されておりますスピーディーあふれる対応をされますようお願い申し上げます。  また、台風二十一号が接近してきております。被害がないことを願いながら、通告に従い質問させていただきます。  まず、県政を担当するに当たり、伊藤知事に基本姿勢をお伺いいたします。  このことは、本日まで代表質問、一般質問を通じて、考えを何度もお答えいただいているところでありますが、重なる部分は省かせていただきまして、私は少し視点を変えてお伺いいたします。  伊藤知事は、今回の県知事選において、県民の支持を受けられ当選されました。早くも二カ月を過ぎようとしております。本議会はもちろん、知事就任からこれまで、三位一体改革や義務教育費国庫負担金削減問題などについて、これまでの執行部の異なった発言がなされていることに対して、本議会を通じてさまざまな議論がなされているところであります。知事は、これまで国において責任ある立場の一人として仕事をされ、中央からの目線や物差しで鹿児島県や地方を見ながら、それぞれ取り組まれてきたものだと思っております。今回、当選されまして、名実ともに鹿児島県の最高責任者となったところでありますが、知事になってみて、これまで国で仕事をされてきた一人として、三位一体改革や市町村合併、義務教育費国庫負担金削減問題など、これまで取り組まれた施策について、鹿児島県、そして地方にとって整合性のある正しいものであったと思われていらっしゃるか、お答えください。  また、国と県、地方の考え方には、知事に就任してみて、大きな温度差があると感じていらっしゃるか、このことについても御意見をお聞かせください。そして、いまだ率直な気持ちと今後の県政に取り組む知事の基本姿勢をお伺いいたします。  次に、知事の離島に対する思いと、今後の取り組みについて伺います。  私は、種子島、屋久島を地盤といたします離島出身議員であります。これまで離島に生まれ、生活をする一人として、離島の声を本議会を通じ、いろいろと申し上げてまいりました。しかしながら、私は、これまでの私の思いと執行部の皆様とは考え方にまだまだ大きな開きがあるように感じてなりません。私もこれまで県に対し、離島のひがみ節のようなこともたびたび申し上げてまいりました。  その一つとして、鹿児島県の地域を語るときに、よく使われる「離島を抱える」という言葉の使われ方であります。この言葉の意味合いに対し、私は少なからず、聞くたびに離島に暮らす一人としては、違和感を覚えているところであります。このことは私ども離島がひとり立ちができておらず、島民の精神的な自信のなさ、引け目から生ずるものと思っておりますが、なかなか自分でも払拭できないのであります。しかしこのことは、私の政治活動の原点でもあり、励みでもあります。伊藤知事は、私のこの感情を、この思いというものをどのように受けとめられますでしょうか、ぜひお答えいただきたいと思います。  また、今後どのように離島の振興を進めていくのか、離島に対する知事の思いと今後の取り組みについてお伺いいたします。  また、あわせて、伊藤知事が種子・屋久を初め、本県離島に、これまでどれぐらいおいでいただいているかもお答えいただきたいと思います。  私は、今回、台風十六号、十八号の襲来を受け、自然の恐怖と文明の弱さを感じたところであります。電気はなくてはならないものであり、なければ今の世の中、何もできないものだと思い知らされました。船や飛行機の交通機関はもちろんです。電気はとまり、電話も使えず、おまけに携帯電話も不通となり、もちろんテレビも映らないのであります。そして頼みのラジオもただガーガー言うだけで、聞くこともできない状況の中で、ただただ時の過ぎるのを待つしかなく、誠に残念に思うとともに、離島における安心して暮らせる社会の構築、いわゆる知事の言われる危機管理の構築は、どうしても必要であると改めて強く感じたところであります。  そこでお伺いいたしますが、種子・屋久のテレビ、ラジオ、携帯電話等の難視聴地域の実態と今後の解消策、そして県内どこの地域に住んでも平等に生活ができる基本姿勢において、離島における安心して暮らせる地域づくりを今後どのように進められるか、お伺いいたします。  離島交通基盤の整備につきましては、時間の関係もありまして、割愛させていただきます。  今回のような台風時における空港、港での飛行機や船の利用者の対応状況について伺います。  今回、台風時に、港や空港においては、交通機関が途絶え、輸送手段もなくなり、それぞれの待合所があふれかえるという状況であったと聞いておりますが、このような滞留者に対し、空港、港において、どのような問題があり、どのように対応されたのか、当時の状況を踏まえ、お答えいただきたいと思います。  次に、今回のような台風時における観光客の滞留解消策についてお尋ねいたします。  沖縄県では、台風時の空席待ちの混乱対策として、台風襲来時における観光客の航空輸送対策調査検討委員会を設置して、空港内で起こる観光客の滞留解消への取り組みを始めているところであります。私も沖縄県のこの取り組みを知り、私の地元と同じ状況であるだけに、強い興味を抱いているところであります。このことは、観光産業の育成や、もてなしの先進県を目指し、取り組む我が鹿児島県としては、どうしてもやらなければならないことだと思うのであります。  そこで、沖縄県の取り組みについて、どのように評価されているのか、また、今後本県でも取り組むべきものだと思いますが、どのように考えられるか、お伺いいたします。  次に、屋久島の電気供給の問題点及び今後の対応策についてであります。  皆さん、御存じでしょうか。屋久島の電気供給は、大手電力供給会社、鹿児島で言いますと、九州電力に頼らない全国で唯一の地域なのであります。よく言えば、規制緩和を先取りした地域であり、形態であります。また一方では、皆様の使っている九州電力と同じような電気供給はできない体力の弱い供給事業者でもあります。かつて、全国の離島では、自前の電力供給が珍しくはなかったのでありますが、大手電力会社への身売りが相次ぎ、地元供給事業者が生き残ったのは屋久島だけであります。このことは豊富な水力を利用した発電であったため、大手電力会社より安く供給できる状態にあったことなどにより、現在に至っているのであります。  屋久島の電力供給は、供給事業者のそれぞれが発電をしているのではなく、誘致企業でもあります屋久島電工が発電した電気を特定供給を受け、九州電力、上屋久町、安房電気利用組合、屋久島農協の四つにより供給をされております。電力供給件数は約八千五百件であります。そのうち七千件は上屋久町、安房電気利用組合、屋久島農協が独自に供給し、九州電力は千五百件だけを供給している状況であります。  このような中で、料金の問題だけではなく、電気の質や電圧が不安定であることなど、今まで余り少なかった苦情や問題点が最近とみに島民より多くなっているのであります。これからの問題として、料金はもちろんでありまして、競争しても九電に勝てるはずがないとの声も多くあることも確かであります。そしてさきにも申し上げましたが、今現在において、最も多い島民からの苦情は、安定した電気の供給、質のよい電気の供給など、電圧の不安定解消であります。  屋久島は、一般的に離島においては人口は減少している中で、Iターン・Uターンの皆様が世界自然遺産登録後、とみに増加が見られるところであります。島に移住してこられる皆さんは、安定した質のよい電気供給を当たり前のように受けられていたところからおいでの皆さんでありまして、このようなことには特に敏感であり、この人たちにとっては当たり前のことであります。また地元においては、いろいろな企業誘致の取り組みをなされ、期待も大きいのでありますが、電力不足など、基本的な問題でなかなか先に進めない状況でもあります。今現在も、このようなことから、世界自然遺産の島でありながら、火力による自家発電により電力を確保している企業も存在しているところであります。  このように、電気供給について、さまざまな苦情が寄せられております。幾ら自然を売りにしている島といっても、このことだけは皆さん、だれもが譲ってくれません。このような声に対し、南部を供給地とする事業者は、島民の声にこたえるため、そしてこのようなことで、島民に絶対迷惑をかけてならないという基本姿勢から、電気供給の安定を図るための変電所を計画いたしておりますが、何分、企業体力がないため、国、県に対して支援、協力をお願いしていると聞いておりますが、県としてどのように対応されるおつもりか、屋久島の電気供給の実態と今後の問題点をどのように受けとめ、取り組もうとしているのか、九電移管も含め、離島振興、そしてエネルギー対策も踏まえ、お伺いいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 37 ◯知事(伊藤祐一郎君) 県知事の基本姿勢についてのお尋ねがありました。  私は、国におきまして国家公務員として三十年余り働いてまいりました。現在の中央集権的システムの一番のもとにいたわけでありますが、この中央集権的システムがいろんな意味で制度疲労を来しておりまして、優秀な人材がいながら、いろんな問題に的確な対応ができないことをずっと見てまいりました。そういう閉塞的な状況でありますので、これからは地方分権型のシステムをつくり、地域の活力で我が国を再生する、今そういう時期に来ているのではないかと考えております。  鹿児島から日本を変えると申し上げましたのは、そういう歴史的な時代の流れ、文明史的な時代の流れの中で、これからは地方のいろんな活力が、日本を再生していく、そういう流れの中での発言として御理解賜れば、大変ありがたいと思います。  地方行政の分野で、国が行政の内容を決めて、すべてそれに従って地方が実行するというような中央集権的な行政システム、これがもう今や限界に来ているわけでありまして、地方公共団体が、住民に身近な公的な団体として、その創意と工夫によって地域の振興を図るという、地方分権型国土の形成が何よりも求められており、また今回の選挙を通じまして、その感を強くしたところであります。  そのため、御指摘のございました市町村合併でありますとか、三位一体、教育費の問題、義務教育費国庫負担金問題等につきましては、今までいろいろお答えいたしましたが、そういう国におきましてやっておりました仕事と現在私が知事として、今責任のある立場にありますが、何ら路線を異にするものではないと考えております。  これからは、地方分権の時代に対応いたしまして、地域経済の振興や確固とした行財政基盤の確立を図りまして、時代を先取りした行政の展開、国内外への情報発信やアピールに努めますとともに、鹿児島らしい豊かさを十分に実感できるような環境づくりや条件整備などを積極的に進めまして、「力みなぎる・かごしま」をつくることに全力を傾注してまいりたいと考えております。  離島に対する思い等についての御質問がございました。その発言の中で、自分の地元を愛する気持ちについてのお尋ねがあったわけでありますが、御発言の中で、その地元を愛するお気持ちの強さにつきましては、十分な感銘を受けたところであります。離島を抱えるという言い方をたしかに私しているようでありますが、単にこの離島を有するという意味で使っているわけでありまして、離島に住む方々に、もし違和感を与えることになったのであれば、今後、注意してまいりたいと考えております。  本県には、南北六百キロメートルにわたる広大な海域に世界自然遺産登録地であります屋久島やロケット打ち上げ施設等を有する種子島など、豊かな自然や独特の伝統文化等を持つ個性豊かで魅力に満ちた二十七の有人離島があります。このことは鹿児島県の大きな特徴でもありますし、魅力の源でもあります。離島地域の振興を図っていくことは、県土の均衡ある発展を図る上からも、県政の主要なテーマであると考えております。  離島地域におきましては、これまで離島振興事業や奄美群島振興開発事業などによりまして、各種の施策を展開してきました結果、交通基盤や産業基盤など、多くの面でかなりの成果が見られるところであります。今後は、これまでの成果も生かしながらハード、ソフトの両面から、効率的、効果的な施策の展開に努めまして、地域の人々が誇りと希望を持って暮らせるよう、離島地域の自立的発展を促進してまいりたいと考えております。  なお、私は、これまで種子島、屋久島、奄美大島など県内十島に延べ二十一回訪れているようであります。他の島にも機会を見つけて訪問したいと考えておりまして、来月の上旬には「知事と語ろ会」で、加計呂麻島、請島、与路島を訪問する予定でありますが、三島、十島をなるべく早く訪問する機会を楽しみにしているところであります。 38 ◯企画部長(岡積常治君) 熊毛地域におきます難視聴等の現状でございますが、テレビについては、おおむね良好に受信でき、ラジオについては、種子島はおおむね良好に受信できるものの、屋久島においては公共放送で約一割、民間放送で約四割の世帯が受信できない状況にございます。  また、携帯電話につきましては、人家の少ない地域や屋久島の山間部では利用できないところがございます。  各市町におきましては、台風など災害時には、防災行政無線等により、住民の方々に迅速・的確な防災情報の提供を行っておりますが、県としましても難聴等の解消に向けまして、関係市町とも連携を図りながら、国の支援措置の拡充を要望するなど、放送事業者等が参入しやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。  屋久島の電気の供給についてでございますが、屋久島におきましては、上屋久町の一部の地域で九州電力による一般供給が行われておりますが、その他の地域では、屋久島電工の自家発電による余剰電力を上屋久町電気施設協同組合、屋久島農業協同組合、安房電気利用組合の三組合が購入し、それぞれ組合員に供給しております。しかしながら、現在の供給体制のままでは、増大する電力需要等に対応しつつ、将来に向かって電気の安定的、継続的な供給が可能か、十分な検討が必要であると考えております。このような状況の中で、屋久町、屋久島電工、電気供給を行っている三組合において、増大する電力需要への対応や電気事業の九州電力への移管等について検討する屋久島地区電気事業関係者協議会を設立されております。県としましては、この協議会での議論を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 39 ◯土木部長(加藤憲一君) 台風時におきます船舶や航空機利用者への対応状況でございますけれども、港湾の旅客待合所におきましては、安全上の観点から前もって閉鎖いたしておりますが、利用者の方々から特別の要望がある場合は、待合所を開放するなど、弾力的な対応を講じているところでございます。  また、空港におきましては、空港管理事務所がターミナルビル会社と連携を図りながら、運用時間内における待合所の提供や宿泊施設のあっせんを行うなど、利用者の利便を図っているところでございます。  県といたしましては、今後とも台風時などにおける利用者の安全や利便性の確保などに適切に対応をしてまいりたいと考えております。 40 ◯商工観光労働部長(原田耕藏君) 台風時における観光客等の滞留解消についてでございますが、本県におきましては、これまで台風等による欠航に際しましては、空港施設の開放や宿泊施設の紹介など、混乱を避けるための柔軟な対応をとってきているところでございまして、今回の台風でも、鹿児島空港などでは大きな混乱は起きていないと聞いております。  なお、屋久島空港におきましては、早々に船便の欠航が決定し、観光客が航空機の空席待ちを求めて殺到いたしましたため、混乱が生じております。このことから、現在、県、地元町、空港関係者、観光協会などの関係者で今後の対応について協議を進めているというところでございます。 41 ◯農政部長(山田裕章君) 屋久島南部の電気事業者であります屋久島農業協同組合は、屋久町内二千七百戸余りに配電いたしております。配電施設は農村漁村電気導入促進法に基づく国庫補助事業により、昭和三十六年から延べ二十七年間にわたって施設整備が行われてきたところであります。現在、観光客の増加に伴いますホテル・民宿の増加、クーラー等の電気機器の普及などにより、電気需要が増大し、停電等が発生するおそれがあるとして、変電所建設の要望が上がってきているところでございます。  しかしながら、前回、補助事業継続要望、これは平成十三年度でございますが、この時点におきまして、当該補助事業による施設整備には限界があることなどを理由といたしまして、平成十四年度からの三年間で補助事業を終了し、今後は九州電力に移管することで、国、県、屋久島農業協同組合の間で整理がなされているところでございます。  県といたしましては、電気の安定供給には、九州電力への移管が必要と考えておりまして、今後、屋久島地区電気事業関係者協議会での議論を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。    [日高 滋君登壇] 42 ◯日高 滋君 知事の県政に対する姿勢についてお答えいただきました。  考え方、そして思いは、それぞれあっていいと思っております。しかし知事は、三位一体改革や義務教育費国庫負担金削減問題などについて、これまで先ほども申しましたが、国にお勤めであっただけに、当然、県民の皆さんも知事と同じく、国と地方の関係や政策といったものがわかっているものだとの思い込みを少し私は感じるような気もしてなりません。それだけに説明が説明となっていないとの印象を強く受けるのであります。知事のように理解力のある人ばかりではないのでありまして、私のような理解力の低い者もいるのであります。それだけに、知事の思いや政策を伝えるためにも、しっかりとしたわかりやすい説明責任を果たし、県政を進めていただきたいのであります。  先ほどから知事の発言を聞いておりますと、私は、財源確保の考え方、説明におきまして、財源は国の方から不足分はちゃんと持ってくるから心配するなと、仕事をしっかりせよと、そのように聞こえるのでありますが、しかし一方では、補助金等は削減されると、それが前提だということがそれぞれ頭にありまして、その点が整合性がない、合わない、考え方が合致しない、そういう点をしっかりと知事も認識いただきたいと思っております。  離島における安心して暮らせる地域づくりについては、伊藤知事は、危機管理の確立、地域をよく知るため、そして均衡のとれた県土を築くために、私どもの離島に一定期間お住みいただき、県庁まで御通勤していただくこともいいのではないでしょうか。どうぞ離島における安心して暮らせる地域をつくるため、ラジオ、携帯電話等の難視聴地域解消に一日も早く取り組んでいただきますよう、お願いいたします。
     台風時における空港での空席待ちなど、観光客の滞留解消については、先ほども申し上げましたが、観光客を受け入れ、そして気持ちよくお帰りいただくためにも、どうしても取り組まなければならない近々の問題だと私は思っております。台風時に観光客がいかに早く帰れるか。欠航などの最新情報の提示、空港に行かずとも整理券などの発行が考えられるシステムであります。そのため、空席待ちの整理券自動発券システムの構築や台風情報の一元化と、その提供方法、そして近隣施設の休息利用などの仕組みがどうしても必要となってくると思っております。  沖縄県も離島であります。そして小さいながらも私どもの離島も全く同じ問題を抱えているのであります。どうぞ沖縄県の取り組みも参考にしていただき、地元の皆さんと一緒になって、滞留者の解消を図っていただきますようにお願い申し上げます。  屋久島の電気供給につきましては、ただいま企画部長、そして農政部長お話がございました。言われるとおりでございます。九電移管が最善の方法だと、そういうお話をいただきました。私も最終的には、そのような形で決着しなければ、しっかりとした安定した電気は送れないと考えております。しかしながら、この九電移管というものが、あした、あさって、すぐできることではないのであります。それぞれの考え方、九電と、そして地元の屋久島電工、そして残りの供給業者、事業者、その人たちの意見がなかなかまとまらない、そういう状況の中でありまして、しかしながら、その中でもしっかりと電気を供給しなければならないその責任はあるわけでございます。とめるわけにはいかないのであります。それまでの間をしっかりと県においても、国においても支えていただきたい。そのために私は今回このことを取り上げて、執行部の皆さん方にお話をさせていただいているところでございます。私もあすできることであれば、そしてあさってできることであれば、こんなことを申すわけではありません。それが残念ながらできないから皆様方にこうして訴えさせていただいているところであります。  先ほど確約書の話もありました。そういう条件がついてこれまで補助事業もやってきたんだということもありました。私もそのこともしっかりと認識もしております。わかっております。しかしながら、それでわかりましたと引っ込むわけにはいかないのであります。ほかのことであれば、私はわかりましたと、時間をかけてやりましょうということでありますが、このことだけについては、すんなりと引き下がるわけにはいきません。屋久町全集落の区長さんの陳情も今回提出させていただいております。その人たちに送り出され、こうしてこの県議会に立たせていただいている以上、その人たちの気持ちもしっかりくみながら、このことについては取り組んでいかなければならないというふうに思っております。どうぞ、島民の気持ちをしっかりと受けとめていただいて、伊藤知事、これからの屋久島の電気のあり方、どうぞお取り組みをいただきますようにお願い申し上げます。  知事も何か読んでいるようで、聞こえているのか、聞こえてないかわかりませんが、私も熱意を込めてお願いしておりますので、ひとつどうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、世界自然遺産地域にあった地域づくりについてであります。自然環境を少しでも変えてはいけない。なかなか現状に追いつかない実態でありますが、負荷をかけない取り組みの一つとして、これまで登山道やトイレ、山小屋等の整備に取り組まれてきたところであります。そこでこれからの世界自然遺産登録地にあった地域づくりと自然環境を守るために、今後どのような方針のもと、取り組みがなされようとしているのか、世界自然遺産登録地としての屋久島の評価と県として今後どのように位置づけされていくお考えであるのか、これからの県政を担当されていく伊藤知事に改めてお伺いいたします。  次に、世界自然遺産屋久島サイクリング大会についてであります。  昭和六十二年から行われ、これまで十七回を数えていました霧島サイクル大会が、本年計画されていた第十八回大会を中止し、来年以降も行わないとの大会廃止が報道されたところであります。私は、この廃止されようとしている霧島サイクル大会を、形を変えようとも、環境に負荷がかからないことや、環境保全の意味合いからも、引き続き取り組むのに、自然環境の島であります屋久島が一番いいのではないかと報道されてから思っているところであります。また、このようなことこそ、自然遺産の地にあった取り組みであり、今後の屋久島の進むべき方向の一つであると思うところであります。霧島サイクル大会の廃止には、さまざまな問題もあるようでありますが、小さな形であっても島民、行政、協力のもとに事を進めるならば、きっと名実ともに世界自然遺産屋久島サイクリング大会と、時間をかけて成長していくものだと考えます。私の質問の趣旨でもあります世界自然遺産地に合った地域づくりとして、ぴったりではないかと考えているところでありますが、県としてどのように考えているかお伺いいたします。  次に、さきのサイクリング大会とも関連もいたしてくるわけでありますが、サイクリングロードの整備についてであります。  このことは私は、平成十三年第一回定例会において取り上げた質問でもあります。自然遺産地にふさわしい道路、歩道の整備として提言させていただいたものであります。現在の歩道を広げ、自転車が走れる屋久島一周ができるサイクリングロードであり、環境に合った特徴ある歩道の整備でありました。これに対し、当時の土木部長からの答弁は、「地元の意見をお伺いしながら、今後の研究課題とさせていただきます」とのことであり、私も答弁に対し、意見も申し上げましたが、早いものでありまして、あれからもう三年半もたったわけであります。これまでの間、県としては、どのような研究と取り組みがなされてきたのか、お伺いいたします。  また、皆さんは答弁において、よく調査をいたしますとか、検討とか、研究、そして当分の間とか、前向きなど、いろいろ使われておりますが、どのように受けとめていいのか、なかなか判断がつかないのであります。これらの皆さんのよく使われる言葉について、どのような意味合いであるのか、どのように使い分けているのか、はなはだ疑問であります。説明をいただきたいのでありますが、通告をいたしておりませんので、次の機会にお尋ねさせていただきますので、準備をしておいてください。  次に、電線類の地中埋設の取り組みについてであります。このことも言わずとも自然遺産の島にふさわしい取り組みであると思われますが、これまで世界自然遺産地にあった地域づくりを進める中で、屋久島において電線類を地中化し、周辺の自然環境を生かした取り組みが必要と考えますが、県はこれまで電線類の地中化の整備事業を実施するに当たり、どのような基準、条件と経過のもとに、これまで地域を選定されてきたのか。また環境の島、台風常襲地屋久島としての限られた地域の中で、この事業をモデル事業として集中して行うことによって、屋久島らしい地域づくりとして、全国に、世界に情報を発信し、世界自然遺産の島として、さらなるグレードアップを図っていくべきだと考えておりますが、今後どのように考え、取り組みをされるおつもりか、お伺いいたします。  次に、自然遺産地域に合った地域づくりの最後となりますが、のり面等の緑化工法の活用についてであります。今回、公共事業において、コンクリート部分をなかなかうまく隠すことができず、景観を損なっている状況にあり、一向に改善ができず、苦慮しているものと考えております。そこで、今現在において、公共事業を実施していく上で、どのような対策により景観への配慮と取り組みがなされているのか、まずお伺いいたします。  新聞報道されました関連記事によりますと、種子島において、コケ緑化工法なるものの試験が行われたようでありますが、景観を美しく、そして温暖化防止などの環境負荷の軽減や垂直な壁面や屋上への活用、砂地斜面にも活用できるとあり、報道のとおりであれば、今までにないすばらしい工法であり、特に自然遺産地には最も合致したものと考えますが、報道されたコケ緑化工法などを含め、今後より一層、自然環境や景観に配慮した方法に取り組むべきだと思いますが、県としてはどのように考えているのか、お伺いいたします。  次に、観光客及び交流人口の増加策についてであります。  まず、種子島の鉄砲伝来の地と火縄銃を生かした観光客誘致への取り組みであります。  種子島を訪れる観光客の皆さんは、この島にどのような魅力を感じているのでしょうか。技術の最先端を行くロケット打ち上げ基地がある宇宙に一番近い島であり、鉄砲伝来の地で、ロマンを感じさせる島であるからであります。歴史と未来の両方の魅力を持ち合わせた島であります。私が思うに、ロケット基地としてのPR、観光誘致の取り組みは、関係者の皆様の努力によりロケット基地を観光PRの中心にした戦略であると考えておりまして、歴史のロマンという部分、すなわち、鉄砲伝来の島、そして火縄銃の島のアピール度が少し足りないようではないかと思っている一人であります。確かに火縄銃を活用したイベントは行われておりますが、どちらかというと、島内、県内向けを中心としたものであり、そして伝統行事に限られているようであります。確かに火縄銃を使うには許可が必要なこと、許可基準の問題でもあり、思うような活用ができないのも現状であります。しかし、このような中、種子島を訪れた観光客の皆さんは、鉄砲伝来の島にせっかく来たのだから、「火縄銃の試射を見てみたい」、「体験してみたい」と言われる人が多いのであります。観光船やツアー客などの歓迎セレモニーにも活用したいのであります。そこで、この火縄銃使用基準をもっと緩和し、火縄銃を使用、活用しやすいものとし、観光振興の一躍を担うべきだと思いますが、どのように考えるか、観光客誘致等も含め、お伺いいたします。  また、中種子町のスポーツ施設を活用した交流人口の増加策であります。  中種子町は、町民のスポーツ振興による健康的なまちづくりを目指して、スポーツ施設の充実を図ってきたところであります。現在は、種子島のスポーツ振興の拠点となっており、町民、島民の生涯スポーツ拠点はもちろん、広く国際大会も視野に入れた各種のスポーツ大会や合宿などの開催地としてスポーツアイランド種子島を目指すなど、広域的な交流拠点としての取り組みをいたしているところであります。今現在も県内、県外の高校生、中学生、そして実業団の皆様などに御来島いただき、大会や合宿などに活用されているところであります。  そこで、県はこのような取り組み、活動や状況を踏まえ、教育委員会との連携を含め、スポーツ振興はもちろん、観光振興、そして交流人口の増加に結びつけるために、県も一緒になり取り組みをいたすべきだと思いますが、お考えをお示しください。  次に、来年四月に屋久島に開校が予定されております通信制の屋久島大空高校開校に伴う観光客及び交流人口の増加策であります。この高校は、初年度は二百人でスタートいたしますが、最終的には二千人の定員の広域の高校で、地元に校舎や宿泊施設が建設され、スクーリングの際には、全国から屋久島に集まってくると聞いております。また最終的には、スクーリングも二千人の皆さんが一回八十名で八泊九日で来られるとのことで、単純に見ても八十名のグループが年間二十五回来島するということになるわけでありまして、今までにない地域との交流が考えられます。このように、当高校の開校は、屋久島の振興を図る上で、観光客及び交流人口の増加策を考える上でも絶好のチャンスであると思っております。県としてのお考えをお伺いいたします。  最後になりましたが、新種子島空港利用促進に向けた取り組みについてであります。平成十八年三月に新種子島空港が開港いたしますが、県は、新種子島空港利用者誘致促進に向け、どのように取り組まれているのか。また、空港利用促進の一環として、焼酎ブームに目をつけた種子・屋久蔵元ツアーが好評とのことでありますが、その企画発案の経過と現在の状況についてお伺いいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 43 ◯知事(伊藤祐一郎君) 先ほどの質問の中で、地方分権型国土をつくる上で、合併でありますとか、三位一体でありますとか、義務教育費の国庫負担制度は避けて通れない過程であると考えておりまして、それは国において直接この仕事を担当いたしましたときも、また知事になりましたときも、方向性において異なることがない旨御答弁したところであります。  三位一体の改革の理念は、先ほどから御説明しておりますように、国庫補助負担金を削減いたしまして、まず税源移譲、それでも財源が不足する場合は、地方交付税で財源保障、財源調整するというのが本来の制度であります。そういう制度をつくるべく、今努力しているということを御理解賜りたいと思います。この三位一体の改革につきましては、国、地方とも大変厳しい財政状況でありますが、地方六団体が力を合わせて今取り組んでいるところでもありますので、ぜひ皆様方の御理解を賜りたいと考えております。  自然環境を守るための今後の方針についてのお尋ねがありました。  世界自然遺産の島屋久島は、縄文杉を初めといたします樹齢千年以上の屋久杉が多数生育し、亜熱帯から冷温帯までの植生の垂直分布が見られるなど、極めて特徴的な自然を有しておりまして、世界的にも学術的にも高い評価を受け、未来の世代に引き継いでいくべき人類のかけがえのない財産であると考えております。  県といたしましては、屋久島におきまして、人と自然が共生する新たな地域づくりを目指します屋久島環境文化村構想を策定し、同構想の推進を二十一世紀新かごしま総合計画の主要プロジェクトに位置づけているところであります。これまで屋久島環境文化財団の設立、屋久島環境文化村中核施設の開館、世界自然遺産会議の開催、山岳部利用の適正化対策など、各種の事業を着実に実施してきたところであります。今後とも同構想に基づきまして、地元の両町等を初め、関係者、地域住民の方々と緊密な連携を図りながら、エコツーリズムの推進などの観光振興、入山協力金制度によります山岳部の保全対策の充実などに努めまして、人と自然が共生する世界遺産にふさわしい地域づくりをさらに推進してまいりたいと考えております。 44 ◯商工観光労働部長(原田耕藏君) サイクリング大会についてでございますが、自転車は、だれもが気軽に利用でき、大気汚染や騒音等もない環境にやさしい交通用具であり、屋久島におけるサイクリング大会の開催につきましては、参加者が屋久島のすぐれた自然環境を体感できるなど、世界自然遺産の島にふさわしいアイデアであると考えております。しかしながら、開催に伴う経費やボランティアスタッフを含めた運営人員の確保、コースの設定や参加者の安全対策等、実現に向けて解決すべき課題も多いことから、今後、地元関係者で十分に研究される必要があるのではないかと考えております。  次に、種子島への観光客誘致につきましては、これまで航空会社とのタイアップによるキャンペーンの実施や旅行エージェントに対する旅行商品の開発要請等の取り組みを行っているところでございます。御提案のあった火縄銃の試射による観光客の歓迎イベントにつきましては、銃砲刀剣類所持等取締法などによる古式銃砲の使用基準に照らした場合、現時点での対応は困難であるということを聞いております。  中種子町中央運動公園につきましては、これまでも県内外の多くの学校や団体等のスポーツ合宿に利用されてきており、県といたしましても、今後、地元や関係団体等と連携を図りながら、利用促進に協力し、観光客の誘客にもつなげてまいりたいと考えております。 45 ◯土木部長(加藤憲一君) 屋久島を一周できますようなサイクリングロードにつきましては、これまで土地利用上の制約や地形上の問題などにつきまして検討を行ってきたところでございますが、地形が急峻な箇所がありますことや、国立公園の特別保護地区におきまして、地元代表や学識経験者などからなります屋久島の一周道路整備検討委員会から、自然環境を保護し、後世に引き継ぐこととの提言がなされたことなどから、一周するサイクリングロードの整備は厳しい状況であると考えております。  電線類の地中化につきましては、建設負担金に加えまして、電柱の撤去など、電線類管理者の負担が大きいことから、これまで電気・通信需要の多い都市部において実施してきたところでございます。屋久島におきます電線類の地中化につきましては、世界自然遺産地にふさわしい地域づくりの観点から、有益であると考えておりますが、厳しい財政状況でありますことや、本事業が多額の費用を要しますことなどから、今後、地中化やその他の工法を含めまして、関係機関とも調整を図り、整備が可能かどうか研究してまいりたいと考えております。  世界遺産でございます屋久島における公共事業につきましては、自然景観や生態系に配慮いたしまして、のり面緑化に当たりましては、地場産の種子を用いているところでございます。コケを用いた緑化工法など、新工法の採用につきましては、その効果や生態系の影響などを慎重に検討する必要があると考えております。今後とも自然景観や生態系にも十分配慮しながら事業を実施してまいりたいと考えております。  次に、新種子島空港の利用促進につきましては、平成十五年七月に県と地元市町や種子島観光連絡協議会で構成いたしております種子島空港利用促進協議会が設立されまして、また庁内においても種子島空港利用拡大推進庁内連絡会を設置いたしまして、地元利用促進協議会と綿密に連絡を図りながら活動を展開しているところでございます。これまで観光かごしま大キャンペーン等による種子島の重点アピールやエアーラインへの利便性の向上などの要望などを通じまして、一定の成果が出ているところでございます。こうした取り組みのうち、種子・屋久蔵元ツアーは、種子屋久観光連絡協議会が中心となりまして、近年の焼酎ブームを背景に、種子島の蔵元見学を目玉に屋久島を取り込みまして、新種子島空港の利用増につなげていこうとするものでございます。このツアーは九月三日出発を皮切りに十一月まで計十三回計画されておりますが、今後一層の観光客誘致を図りながら、新種子島空港の利用促進に努めてまいりたいと考えております。 46 ◯総務部長(境 勉君) 平成十七年四月に開校が予定されております屋久島大空高校でございますが、全国を対象とする通信制の高校でございまして、スクーリングには一回につき最大八十名の生徒が全国各地から来島いたしまして、八泊九日の日程で学習することになります。この授業には地元講師による野外体験活動、あるいは屋久島の自然環境を生かした環境学習などが組み込まれておりまして、地元の人材や施設などをできるだけ活用するとともに、地元との交流も図ることとしております。こうした屋久島での生活や体験を通じて得ました屋久島のすばらしさについて、生徒による宣伝効果も期待できるのではないかと考えているところでございます。  また、開校当初は十九名の教職員でスタートすることとなっておりますが、そのうち地元から講師や用務員など七名が雇用される予定でございます。さらに開校三年目に当たります平成十九年度には、教職員が三十名にふえる計画でありまして、人口の増加や雇用拡大が図られるものと考えております。県といたしましては、学校側と地元との連携によりまして、当高校の開校が一層の地域活性化につながることを期待しているところでございます。    [日高 滋君登壇] 47 ◯日高 滋君 世界自然遺産登録地にあった地域づくりについて、知事の思いと考えをお聞きいたしました。どうぞ新しい感覚で、しっかりと取り組んでいただきますようにお願い申し上げます。  サイクリング大会の開催につきましては、何度も申し上げますが、私が言いたいのは、金の問題じゃないんであります。一つの形を、何かをやろうと、しようという取り組みを、その地域に合った取り組みをしようということを言いたいのでありまして、そのものを持ってこようということではないのであります。しっかりとそのことを御認識いただいて、今後の取り組みをお願い申し上げます。  サイクリングロードの整備については、御答弁いただきました。一周はなかなか難しい。私も一周検討委員会でしたか、そういうのがあることも知っております。しかしこのサイクリングロードをつくることによって自然が破壊される。私は逆だと思っています。そのようなものをしっかりとつくって、来ていただく方にしっかり親しんでいただいて、そこから屋久島の自然を堪能していただく、そういう考え方に立たなければ、何かをつくることが自然を壊す、その発想はやめていただきたいと思っております。何でもかんでも、私はその自然を破壊するために、破壊しようとするためにこのようなところで発言しているわけじゃないんです。一緒になって新しい形のその地域に合った本当の世界自然遺産と、そういう地域にしようじゃないかという思いの中で話をしているわけでございますので、そこのところもしっかりと御理解いただきまして、今後の取り組みをお願い申し上げます。  それから、電線類の地中埋設につきましても、このことも大きなたくさんの負担があるということも知っております。しかし、このことを執行部の皆さんは、こういう地域だから、こういう取り組みをしてみようという、そういう検討もされたことがありますか。金の問題じゃないんです。そういう本当にこの事業は、ここに合った事業じゃないかと、これからこの島をしっかりとつくり上げるためにもこの事業は取り組むべきだと、そういう発想に基づいてやっていただかなければ、いつまでたっても、金のない地域は何にもできない。何もしてもらえない。携帯電話にしてもそうですよ。人が少ないからなかなかできない。そういう物事の発想でいいでしょうか。私どもはその部分を言いたくてこの場に立っているのでございます。だれかがしてくれるところ、そういうところはほっといてもいいんですよ。できないところを私どもは皆さんにお願いし、一緒に取り組もうじゃないか、一生懸命考えてやろうじゃないか、その発想でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それから、のり面の緑化工法については、いろいろ検討されているようでございます。地域に合った、そして地域で育ったものでつくるというものが基本だと思っております。しかしながら、そういう発言はありますが、実際、どのような取り組みをしているのか、私どもの目に、そして皆さんの目に、県民の人たちになかなかわかりづらい、そういう状況だと思っております。私は、こういうことは大胆に思い切って一つのモデルケースとしてつくり上げて、しっかりと皆さんにアピールしていただきたい、そのように考えております。  それから、火縄銃のことでございますが、いろいろ規制があり問題だということでもございました。それもわかっております。警察の皆さんと話をしていただいて、じっくりと話をしていただいて、何らかの方法があるんじゃないですか。種子島は鉄砲の島、鉄砲特区ですよ。皆さんが言われるそのものじゃないですか。そのことをしっかりと考えながら、このことも乗り越えていっていただきたいと思っております。  それから、高校につきましても、ただいま総務部長よりお話をいただきました。来年の開校でございますが、私どもも楽しみの一つでございます。このことによりまた、新しいまちづくりが、地域が活性するなと、振興が図れると、そのような思いでございますので、どうぞそういう意味でもしっかりとお誘いをいただきますことをお願い申し上げます。  新空港利用促進について、蔵元ツアーは熊毛支庁の皆さんのすばらしい発案のもので、今後も第二弾、第三弾のツアーをつくり出していただきますことをお願い申し上げます。  いろいろ質問させていただきましたが、新知事となり、改めてお聞きいたしたものもありました。離島に生まれた一人として、島民の思いと新知事への期待をかけてのことであります。伊藤知事にも、離島問題にしっかりと取り組んでいただく決意も示していただきました。どうぞしっかりと県政運営をお願いいたします。  きょうのこの思いをいつまでも共有し、私どもの離島を伊藤知事にしっかりと抱えていただくためにも、伊藤知事の伊藤と同じ響きであります私どもの離島をとって、きょうは「離島祐一郎知事、がんばれ」と叫びまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 48 ◯議長(川原秀男君) 以上で、通告による質問は全部終了いたしました。  これで、質問は終結いたします。       ─────────────    △ 議案第九一号―議案第一〇八号(議案第九七      号、議案第一〇四号、議案第一〇七号を除く)      委員会付託 49 ◯議長(川原秀男君) 次に、議案の委員会付託であります。  今回提出されました議案のうち、議案第九七号、議案第一〇四号、議案第一〇七号を除く、議案第九一号から議案第一〇八号までは、配付いたしております議案等付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。  お諮りいたします。  議案第一〇九号及び議案第一一〇号は、会議規則第三十九条第二項の規定によって、委員会付託を省略したいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 50 ◯議長(川原秀男君) 御異議なしと認めます。  よって、そのように決定いたしました。       ─────────────    △ 決算特別委員会設置(議案第九七号、議案第      一〇四号及び議案第一〇七号同特別委員会付      託) 51 ◯議長(川原秀男君) お諮りいたします。  議案第九七号「平成十五年度鹿児島県歳入歳出決算について認定を求める件」、議案第一〇四号「平成十五年度鹿児島県病院事業特別会計決算について認定を求める件」及び議案第一〇七号「平成十五年度鹿児島県工業用水道事業特別会計決算について認定を求める件」については、十三人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、同特別委員会に付託することといたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 52 ◯議長(川原秀男君) 御異議なしと認めます。  よって、議案第九七号、議案第一〇四号及び議案第一〇七号は、決算特別委員会を設置し、同特別委員会に付託することに決定いたしました。       ─────────────    △ 決算特別委員の選任 53 ◯議長(川原秀男君) 次に、決算特別委員会の委員の選任を行います。  お諮りいたします。  決算特別委員の選任については、委員会条例第六条第一項の規定によって、配付いたしております決算特別委員名簿のとおり指名いたしたいと思いますが御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 54 ◯議長(川原秀男君) 御異議なしと認めます。  よって、決算特別委員は、ただいま指名いたしましたとおり、選任することに決定いたしました。       ━━━━━━━━━━━━━  決算特別委員名簿  決算特別委員会委員    岩 下 吉 廣  酒 匂 卓 郎    前 原   尉  鶴 田 志 郎    桐 原 琢 磨  日 高   滋    山 口   修  松 里 保 廣    成 尾 信 春  山 本 求 之    柴 立 鉄 彦  山 田 国 治    増 留 貴 朗             (十三人)       ━━━━━━━━━━━━━ 55 ◯議長(川原秀男君) これで、本日の日程は終了いたしました。       ─────────────    △ 日程報告 56 ◯議長(川原秀男君) 十月五日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、議案及び請願・陳情の委員長報告、質疑、討論並びに表決などであります。       ─────────────    △ 散  会 57 ◯議長(川原秀男君) 本日は、これで散会いたします。        午後三時十九分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...